今回の記事では、「開業医は儲からない」という話の真相について解説していきます。
開業医といえば夢のある稼げる仕事という認識を抱いている人が多いです。
しかし、クリニックによっては「開業したもののあまり儲からない」、「開業5年目あたりから年収が上がらなくなってきた」というところもあります。
さらに最近は、今後開業医の年収は激減するという話もあるほどです。
そこで今回は、「開業医は本当に儲からないのか?」、「開業医としてしっかり儲けるためには何をするべきか?」といった部分を解説させていただきます。
「今後開業を考えている」、「開業したもののあまり儲かっていない」、「そろそろ開業5年目に突入する」という場合は、とくに参考にしてみてください。
開業医の平均年収
開業医の平均年収はおよそ2,807万円です。(参考:厚生労働省「第23回医療経済実態調査」)
勤務医の平均年収がおよそ1,428万円なので、実際に比べてみると、勤務医から開業医になることで倍近くの年収になることがわかります。(参考:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」)
ただし、開業医は必要経費が多いことから、手取りについては開業医がおよそ1600万円前後、勤務医がおよそ850万円~1050万円となり、単純に倍のお金が手元に残るというわけではなりません。
とはいえ平均年収だけ見ると、「開業医は儲からない」ということはなさそうですね。
ちなみに勤務医と開業医の年収比較については「勤務医と開業医の年収を比較!手取りが多くなるのはどちら?」の記事で詳しく解説しているので、興味があれば併せて確認してみてください。
開業医は儲からないの真実
開業医の平均年収でみれば「儲からない」ということはなさそうですが、それでも「勤務医は儲からない」と言われる理由は2つあります。
- 5年目~10年目以降で年収が下がる可能性がある
- 人口動態によって年収が激減する可能性がある
具体的にどういうことなのか、1つずつ解説していきましょう。
5年目~10年目以降で年収が下がる可能性がある
開業医の中には、開業5年目~10年目くらいでピークに達して、そこから年収が下がっていくところが多いです。
その主な理由として、以下の2点が挙げられます。
- 院長のモチベーションが下がる
- 地域に競合となるクリニックができる
開業して数年は、開業医にとってモチベーションがもっとも高い時期の1つです。
そこからちょうど5年くらい経ってくると院長も慣れが生じてくるため、モチベーションが下がってきます。
また開業10年くらいで開業資金の返済が終わるところも多いので、そこで一旦落ち着くケースも多いです。
さらに開業から5年~10年経ってくると、地域に競合となるクリニックができることもあります。
競合クリニックができれば当然患者さんが分散してしまうので、そのタイミングで売上(年収)が下がるケースがあるわけですね。
人口動態によって年収が激減する可能性がある
開業医の年収については、人口動態による影響も大きいです。
たとえば地方で開業している場合、少子高齢化に伴う地方の過疎化が進んでいることで、患者の数が大幅に減少してしまう可能性があります。
そうなれば当然、開業医の年収が大きく落ち込んでしまうわけです。
また少子高齢化によって、診療報酬や医療費負担額改定などので医療費抑制政策が進んでいる影響もあります。
たとえば2021年6月に実施された「75歳以上の医療費負担割合の引き上げ」などです。
少子高齢化の影響で医療費が国の財政を圧迫していることから、今後もこういった政策が進んでいく可能性は大いにあります。
そうなればクリニック利用者のメインとも言える高齢者の病院離れが進むことで、クリニック全体で患者数が減少してしまうのが道理です。
このように地域や日本全体の人口動態によって、将来的に開業医全体の年収が激減してしまうという専門家の声もあります。
儲からない開業医の特徴
開業医全体の話ではなく、いちクリニックとして儲かっていないという場合は、そのクリニックに固有の問題があるケースもあります。
たとえば、以下のような特徴の開業医は、思うように儲からない可能性が高いです。
- 運営方針が定まっていない
- 経営スキルがない
- 目先の利益にとらわれている
- 地域の医療ニーズを理解できていない
- クリニック内の人間関係が良好ではない
1つずつ解説していきましょう。
儲からない開業医の特徴1.「運営方針が定まっていない」
「運営方針(ビジョン)が定まっていない」と、クリニックが儲からない原因になってしまいます。
運営方針が明確になっていない状態だと、クリニックの方向性がブレてしまうためです。
これではスタッフもどのように動けば良いかわかりませんし、何より開業医自身が迷いながらクリニックを運営することになります。
そのような状態では患者さんの満足度が低下してしまうため、クリニックを開業するなら最初にしっかりと運営方針を決めておきましょう。
儲からない開業医の特徴2.「経営スキルがない」
「開業医自身に経営スキルがない」というのも、クリニックが儲からない大きな原因になり得ます。
開業医は勤務医と違い、医師であると同時にクリニックの経営者でもあるからです。
「どのように集患するか」、「クリニックをどのようなコンセプトで運営するか」、「どのような医療機器を導入するか」など、クリニックを運営するうえで経営的判断をする場面は多くあります。
だからこそ開業するなら書籍を読んだりセミナーに参加したりして、経営スキルについても勉強しておきましょう。
儲からない開業医の特徴3.「目先の利益にとらわれている」
「目先の利益にとらわれてしまう」と、それもクリニックが儲からない原因になります。
目先の利益ばかりに気を取られて先行投資を怠ると、患者さんの満足度の低下や患者数の低下に繋がってしまうからです。
たとえば医療機器の購入やレンタルに費用をかけなければ医療行為の質が上がりませんし、人件費をしっかり確保しないと採用や教育が上手くいかず、スタッフの質が落ちてしまいます。
また、集患対策にも予算が必要です。
当然、集患対策をしなければ患者の減少によって売上が下がる可能性があります。
このように目先の利益にばかり気を取られて必要な経費を使わないでいると、クリニックの運営自体が先細りしてしまい、年収の激減に繋がってしまうわけですね。
儲からない開業医の特徴4.「地域の医療ニーズを理解できていない」
「地域の医療ニーズを理解できていないこと」も、クリニックが儲からない原因の1つです。
開業時の話になってきますが、たとえば高齢者が多い地域に小児科を開業しても患者さんの数は限られてしまいます。
また、地域住人の動線についても理解が必要です。
通院に不便な場所で開業してしまうと、集患に苦労することになります。
もしくは車移動が必須な地域で駐車場が狭すぎると、不便なために来院する患者さんは減ってしまうでしょう。
このようにクリニックを開業して儲けたいなら、その地域のことしっかり理解することも重要です。
儲からない開業医の特徴5.「クリニック内の人間関係が良好ではない」
「クリニック内の人間関係」に無頓着でいるのも、利益が伸びない原因になり得ます。
なぜなら人間関係が良好でないと、スタッフ同士での連携が上手く取れなかったり、優秀なスタッフが定着してくれなかったりといった問題が生じてくるからです。
とくにクリニックには医師、看護師、医療事務員、理学療法士など、さまざまな業種のスタッフがいます。
そのスタッフ同士がしっかりとコミュニケーションを取り、連携していかなければクリニックの質は上がりません。
また頻繁にスタッフが辞めてしまうような職場だと、採用や教育に大きなコストがかかってしまいます。
そういった部分を踏まえても、クリニック内の人間関係は気にかけておきましょう。
開業医としてしっかり儲けるためには
開業医としてしっかり儲けるには、先に挙げた「儲からない開業医の特徴」を参考にすると同時に、経営や財務のプロにアドバイスを求めることをおすすめします。
というのも医師の本分は医療行為であるため、経営や財務まで1人で完璧にこなすのは難しいからです。
それならプロの手を借りる方が開業医自身の負担も減りますし、何よりその道のプロに依頼することで良い結果に繋がります。
とくにほぼ100%のクリニックが契約するであろう税理士については、しっかりと精査してください。
税理士と一言で言っても、その対応は千差万別です。
たとえば事務処理のみを淡々とこなす税理士もいれば、節税はもちろん、経営のことや資金調達のことについても積極的に提案してくれる税理士もいます。
もちろん契約するべきは、後者の色々と提案してくれる税理士です。
もし今契約している税理士があまり提案をしてくれないようなら、別の税理士に乗り換えることも検討してみてください。
ちなみに私たち池上会計は、もちろん提案をさせていただく方の税理士です。
私たちのモットーは、「お客様に結果で評価していただくこと」です。
だからこそお客様の利益に繋がるようにしっかりと向き合い、さまざまな提案をさせていただきます。
もし新しい税理士を探しているなら、初回は無料相談となりますので、ぜひ1度池上会計にご連絡ください。
【まとめ】儲からない開業医を脱するには経営スキルが必須
今回は、開業医が儲からないと言われる理由や原因について解説をしてきました。
少子高齢化によって医療費抑制政策が進められている現在は、確かに昔より儲からない環境にあると言えるかもしれません。
しかし現状の平均年収をみても、まだまだ開業医の年収は高水準です。
そのため、もし現状クリニックがあまり儲かっていないなら、運営や経営に問題がある可能性があります。
とくに医療のプロである医師が代表を務める関係上、経営に関するスキルについては足りていないことが多いので、もし経営が上手くいかない理由がわからないなら、経営のプロにアドバイスを求めてみると良いでしょう。
もしどこに相談して良いか迷っているなら、ぜひ池上会計にご連絡ください。
私たちはお客様の利益に徹底的にこだわって、さまざまな提案をさせていただきます。
今なら初回相談を無料とさせていただいているので、この機会にぜひご相談ください。