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歯科医院の独立開業を税理士が解説!必要な開業資金や年収はどれくらい?

歯科医院の独立開業

今回は歯科医院の独立開業について、税理士視点でメリット・デメリットや必要な開業資金などを解説していきます。

結論から言ってしまうと、歯科医は色々な診療科目の中でもとくに独立開業に向いています。

歯科医は独立開業して上手く経営することで、売上・利益を大きく伸ばせる可能性を秘めているからです。

もちろん独立開業にはデメリットも存在していますが、それを差し引いてもなお大きなメリットがあります。

もしあなたが歯科医で、かつ勤務医として働いているのなら、ぜひこの記事を参考にして1度独立を検討してみてください。

 

歯科医院を開業すると年収はどうなる?

開業歯科医の年収

開業歯科医の平均年収はおよそ1200万円~1400万円前後であると言われています。

ただし、開業歯科医の年収はピンキリなので、この平均年収があてになるかと言われると疑問です。

開業歯科医の年収は、どれくらいの規模でやっているのかにもよりますし、クリニックを開設した土地や経営状況によっても左右されます。

実際、年収が数百万円に留まっている開業歯科医がいる一方で、数千万円にもおよぶ歯科医もいるほどです。

詳しくは後述しますが、歯科医は医師のなかでもとくに経営手腕やマーケティングによって収益性が変わってきます。

ただ1つ言えるのは、上手く集客できた場合、歯科医はほかの診療科目の医師と比べて収益を伸ばしやすいということです。

 

歯科医院を開業するメリット・デメリット

歯科医開業のメリットデメリット

ここからは歯科医院を独立開業するメリット・デメリットについて解説していきます。

税理士の視点から見れば、歯科医は医師の中でもとくにメリットを享受しやすいです。

実際、池上会計に独立開業や医療法人化の相談に来ていただく医師の中では、圧倒的に歯科医が多い傾向にあります。

その点も踏まえ、メリット・デメリットを説明していきましょう。

 

歯科医院を開業するメリット

歯科医院を開業するメリットには以下のようなものがあります。

  • 収益を伸ばしやすい
  • 診療方針を自分で決められる
  • 好きな土地で開業できる

それぞれ詳しく解説していきましょう。

収益を伸ばしやすい

いくつかあるメリットの中でもとくに税理士として推したいのが収益を伸ばしやすいという点です。

まず前提として、勤務医として給料をもらうより独立して収益をあげる方が大きく稼げる可能性は高くなります。

もちろん勤務医が持つ安定性はなくすことになりますが、上手くいったときの収益性という意味では開業医の方が格段に上です。

そしてその中でも、とくに歯科医は収益を伸ばしやすいという特徴があります。

なぜそんなことが言えるのかというと、歯科医院はリピート客を作りやすいからです。

歯医者は虫歯治療のためだけに行くわけではありません。定期的な歯科検診やメンテナンスに通うこともあるため、常連に長く通ってもらいやすい業態なのです。

さらに検診やメンテナンスで来たお客さんの対応については医師本人が応対せず、歯科衛生士に任せることもできます。

そのためマーケティングさえ上手くいけば、歯科医院は比較的容易に規模を拡大し、収益を伸ばしやすいのです。

診療方針を自分で決められる

自分で歯科医院を開業すれば、診療方針はトップであるあなたが決められます。

どのような治療方針を選ぶのか、どのような客層をメインにするのか、あなたの自由です。

たとえば極力歯を削る治療を避けたり、歯科検診やメンテナンスといった予防医学に力を入れたりすることもできます。

もし今勤務医で、かつ病院の方針と自分の考えが合わないと考えているなら、これは大きなメリットといえるでしょう。

好きな土地で開業できる

独立すれば、どこで開業するかは自分で決めることができます。

たとえば自分が生まれ育った土地にクリニックを開くこともできますし、単純に住みたい土地を選ぶことも可能です。

ただし、大前提としてお客さんが来てくれる場所を選ぶ必要があります。

たとえばあまりに競合クリニックが多い土地は、よほど自信がある限り避けるべきです。

そこさえ満たせば、あとは自由にクリニックを開業することができます。

 

歯科医院を開業するデメリット

ここまで独立開業のメリットを解説してきましたが、もちろんデメリットもあります。

  • 集客が必要になる
  • 経営者としての責務を負うことになる
  • 医療行為以外にもやることが多い
  • 開業資金が必要になる

これらのデメリットを把握せずに独立開業してしまうと経営で失敗してしまう可能性もあるので、しっかり理解しておきましょう。

集客が必要になる

歯科医院を開業すれば当然、どうすればお客さんが来てくれるのかを考えなければいけません。

勤務医であればそういったことは病院の上の人間が考えてくれていましたが、個人開業の医院ではあなたがトップです。

最初はチラシを撒いて認知を得るところから始めたり、ホームページを作って口コミを集めたり、ポータルサイトに登録したり、やらなければいけないことはたくさんあります。

経営者としての責務を負うことになる

自分のクリニックを開業するということは、あなた自身がそのクリニックの責任者になることを意味します。

そのため医療事故があったときの責任はもちろん、経営責任まであなたが追わなければいけなくなるのです。

勤務医であれば何かあっても病院側が対処し、庇ってくれたかもしれませんが、個人クリニックではそれがありません。

もしあなたが自分で責任を負うことに強いプレッシャーを感じる性格であれば、このデメリットが非常に重くのしかかってきます。

医療行為以外にもやることが多い

個人クリニックでは、あなたは歯科医であると同時に経営者でもあります。

そのため、医療行為以外に経営者としての業務もこなさなければいけません。

たとえばスタッフを雇用したり、経営方針を決めてスタッフに浸透させたり、資金繰りを考えたりなど、とくに立ち上げ時は色々と大変です。

自分は医療行為のみに専念したいという場合は、勤務医として働き続けるか、もしくは経営業務の大部分をサポートしてくれる人と組む必要があります。

開業資金が必要になる

歯科医が独立開業するうえでもっとも大きなデメリットとなるのは、やはり資金面での問題でしょう。

歯科クリニックを開業するとなれば、当然開業資金が必要になります。

クリニックを開設するための内外装工事費や家賃(もしくは建設費用)が必要になりますし、治療機器を揃えるのにもかなりの資金が必要です。

あとは当面の運転資金についても用意しなければいけません。

次章で詳しく解説しますが、開業資金は諸々合わせて数千万円はかかります。

 

歯科医院の独立開業に必要な資金は?

歯科医院の独立開業に必要な資金

規模や土地にもよりますが、歯科医院を開業するにはおおむね5,000万円以上の資金が必要となります。

主に必要となるのが以下のような資金です。

  • 建物や内外装に関する費用(2,000万円~3,500万円)
  • 医療機器など関する費用(2,000万円~3,500万円)
  • 集客、求人に関する費用(150万円~400万円)
  • 運転資金(1,000万円~1,200万円)

とくに高額となるのが、建物や医療機器といった設備投資ですね。

例の数字では賃貸を想定していますが、新築でクリニックを建設するという場合にはもっと資金が必要になります。

あとは人件費や消耗品費、光熱費、弁護士の顧問料といった運転資金についても十分に用意しなければいけません。

開業直後は思うように集客ができない可能性があります。

さらに診療報酬の入金は2か月後となるため、運転資金は余裕を持って用意しておきましょう。

このように歯科医院を独立開業するためには、とにかく多額のお金が必要です。

とはいえ、もちろん全額を準備しなければいけないわけではなく、基本は銀行からの融資を受けることになります。

ただすべてを融資で賄うことは難しく、1,000万円程度は自己資金を出すのが一般的です。

勤務医として歯科医をやっている方の中には、この1,000万円の資金が溜まるタイミングを独立するタイミングの目安だと考えている方もいます。

 

歯科医院の開業スケジュール

歯科医院の開業スケジュール

あくまでも個人として独立開業するスケジュールなので人にもよりますが、1つのモデルケースとして、以下のようなスケジュールで独立開業を進めていくのが一般的です。

  • 構想、プランニング(1年以上前から)
  • 事業計画の作成(1年前~10ヵ月前)
  • 開業準備(6ヵ月前)
  • 開業前準備(2~3ヵ月前)
  • 開業直前準備(1か月前)
  • 開業

見ていただければわかるとおり、歯科医院を独立開業するためには1年以上前からの準備が必要となります。

それでは1つずつ順を追っていきましょう。

 

構想・プランニング(1年以上前)

歯科医院に限らずどのようなビジネスでもそうですが、まずは構想・プランニングをする必要があります。

たとえば、どういったコンセプトの歯科医院にしたいのか、どのようなお客さんをメインターゲットとするのか、どこで開業するのか、どれくらいの規模でやりたいのか、といったことですね。

あとは開業資金や運転資金の資金繰りについてもこの段階からある程度考えておくべきでしょう。

 

事業計画の作成(1年前~10ヵ月前)

構想が固まってきたら、具体的な事業計画の作成に移ります。

とくに融資を受ける場合、創業計画書・事業計画書の提出が必要です。

融創業計画書・事業計画書には、開業に必要な費用や見込みの運転資金、開業後の予測来院数など、具体的な数字を出す必要があります。

そのため医師だけで事業計画を作成するのは難しく、この段階から会計事務所など専門家の手を借りる必要が出てきます。

池上会計事務所は医療関係の独立開業、医療法人化に力を入れており、今なら初回相談が無料です。

全国対応しておりますので、もし独立開業を考えているならぜひ1度ご相談ください。

 

開業準備(6ヵ月前)

事業計画が立てられたら、実際に開業準備を始めていきましょう。

融資の依頼先を決めたり、開業するエリアで物件を探したり、医療機器の手配を始めたり、内装工事の依頼をしたり、といった部分です。

具体的に物事が進んでいくので忙しくなりますが、同時にモチベーションが上がってくる時期でもあります。

 

開業前準備(2~3ヵ月前)

依頼していた内装工事が完了し、医療機器の設置が終わったら、次に事務的な前準備をやらなくてはいけません。

スタッフの採用、備品・消耗品の契約、役所に提出する書類の準備、歯科技工所の選定などをやるタイミングです。

 

開業直前準備(1ヵ月前)

いよいよ開業直前ということでスタッフの研修を行い、オープンに備えましょう。

保健所の検査や役所への申請、歯科医師会への入会、内覧会などもこのタイミングで行います。

 

開業

いよいよ開業です。

何か問題になるような点はないか、お客さんがちゃんと来てくれるか、などをチェックし、改善を行っていきましょう。

歯科医院といえど普通の商売と同じで、お客さんの声を聞きながらPDCAを回すことが大切です。

 

歯科医院の独立開業を成功させるために必要なこと

成功のために必要なこと

歯科医院の独立開業を成功させるために必要なのは、開業前の準備をきっちりと行うことです。

歯科医院の独立開業で失敗してしまう人は、以下のようなケースが要因となることが多いです。

  • 事業計画や資金繰りが甘い
  • 事前のリサーチができていない
  • マーケティングができていない
  • 経営者としての視点がない

歯科医院を独立開業するなら、事前準備の段階でこれらをしっかりと練っておく必要があります。

 

とくに事業計画や資金繰りが甘いとすぐに赤字に転落してしまうので注意が必要です。

固定費や返済額などの支出、1日の想定来院数や客単価などを細かく計算しておくことはもちろん、運転資金は多めに用意しておきましょう。

 

あとは事前リサーチの甘さも独立開業失敗の要因になります。

たとえば地域で強い競合がいる場所に無策で開業してしまえば、集客で相当苦労することになります。

もしくは子供が少ない地域で小児向けのクリニックを開業しても、なかなか売上は伸びてこないでしょう。

そういった失敗をなくすためにも、開業予定地域周辺の世帯や競合リサーチは事前にしっかりとやっておくべきです。

 

また、マーケティングができていないケースも多いです。

歯科医院を独立開業すれば勝手にお客さんが来てくれるようになる、というわけではなりません。

先の述べたリサーチも含め、マーケティング戦略を立て、集客や差別化を行っていく必要があります。

たとえばチラシを撒いたりWeb対策を行なったり、もしくは競合とは違うコンセプトにしたり、口コミ対策をしたり、やるべきことは多いです。

 

そしてもう1つ、医師に経営者視点がないことが開業失敗の要因になることもあります。

開業医と勤務医の大きな違いが、経営者か否かという点です。

勤務医であれば医療行為に専念し、医療技術を磨いていれば結果を出すことができます。

ところが開業医となるとそれだけではなく、戦略やコンセプト、資金繰り、人事など、クリニック全体の経営についても考えなければいけません。

医師としての仕事と経営者としての仕事はまったくの別ものです。

そのため独立開業を考えているなら、事前に書籍やセミナーで経営者としての勉強をしておく必要があります。

 

このように歯科医院の独立開業で失敗する要因はいくつかあります。

ただ事前準備を綿密にすることで、成功確率をグッと引き上げることが可能です。

とはいえ会計関連やマーケティング関連は医師の仕事をしながら手を付けるのは難しいと思います。

そのため開業準備の時点で、信頼できる会計事務所やコンサルタントを探すのがおすすめです。

 

【まとめ】歯科医院の独立開業は事前準備が重要!

今回は歯科医院の独立開業について、税理士視点で解説してきました。

詳しくは本文内で説明させていただきましたが、歯科医は数ある診療科目の中でもとくに独立開業のメリットが大きいです。

実際、池上会計に独立の相談に来る医師の中では、断トツで歯科医が多いですね。

もちろん独立開業のデメリットがないわけではありませんが、それを補っても余りあるメリットがあります。

そんな歯科医院を独立開業するうえで、もっとも重要なのは事前準備です。

「リサーチ」、「マーケティング」、「資金繰り」、「経営者としての勉強」など、事前準備をどれだけ細かくやって、どれだけのことを把握できているかが成功のカギとなります。

とはいえ医師からしてみれば専門外のことも多く、困ることも多いのではないでしょうか。

経営者としての知識はやはりご自身で身に付けるべきですが、リサーチ、マーケティング、資金繰りという点であれば会計事務所やコンサルタントを頼るのも1つの手です。

ちなみに池上会計は医療関係のスタートアップに強く、「税務をこなすだけでなく結果を出す」ということをモットーとしています。

全国対応で、初回相談は無料なので、独立開業を考えているならぜひ1度ご相談ください。