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開業医の廃業率はどれくらい?税理士目線で医師が独立するリスクを解説

開業医の廃業率

今回は、開業医の廃業率についてお話ししていきます。

クリニックを独立開業したいと考えたとき、もっとも気になるのは「失敗しないだろうか?」ということではないでしょうか。

言い換えると「どれくらい廃業してしまうリスクがあるのか」ということですね。

私たち池上会計は医師の独立開業、医療法人化を得意としている会計事務所ですが、実際のところ一般的な法人や個人事業主と比べると、クリニックの廃業リスクは低めではあります。

ただ、廃業リスクがまったくないのかというと、そうでもありません。

そこで今回は、「独立開業したクリニックの廃業率はどれくらいなのか?」、「何が原因で廃業してしまうのか」「廃業しないためにはどうすれば良いのか?」というところを税理士目線で詳しく解説していきます。

もし開業医になるという選択を考えているなら、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

 

開業医の廃業率はどれくらい?

開業医の廃業率はどれくらい

2021年に帝国データバンクが行った調査によると、開業医(クリニック)の廃業率は0.47%でした。

2021年に休廃業・解散した医療機関は567件です。

そのうち「病院が12件」「診療所(クリニック)が471件」「歯科医院が84件」となっています。

一方、東京商工リサーチの調査によると、2022年に休廃業・解散した一般法人は4万7,578件で、廃業率は1.65%となるようです。

このように一般法人と比べてみると、クリニックの廃業率や廃業件数は少ないように感じます。

しかし、診療所(クリニック)の471件廃業は過去最高であり、廃業率は年々増加傾向にあります。

そのことから、開業医の廃業率は一般法人と比べると低いものの、過去のデータと比べると高いと言えるでしょう。

(参考:帝国データバンク

(参考:東京商工リサーチ

 

開業医が廃業する理由

廃業する理由

開業医(クリニック)が廃業する主な理由には以下のようなものがあります。

  1. 高齢化による引退
  2. 資金繰りが上手くいかなかった
  3. 集患が上手くいかなかった
  4. 人間関係が上手くいかなかった
  5. その他の外部要因

これから開業するなら、あらかじめ廃業の原因となり得るものを確認しておき、これらのリスクに備えることが重要です。

それでは1つずつ解説していきましょう。

 

廃業の理由1.「高齢化による引退」

開業医が廃業する大きな理由として、高齢化による医師の引退が挙げられます。

厚生労働省の「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、2020年時点での医療機関における医師の平均年齢は50.1歳とかなりの高齢でした。

そこから診療所(クリニック)だけに絞ると、平均年齢は60.2歳にまで跳ね上がります。

60歳といえば、一般企業であれば定年が選択肢に挙がってくるような年齢です。

そのため後継者がいないクリニックは、医師の高齢化を理由にどんどん廃業してしまいます。

後継者不足は医療業界でも深刻な問題です。

もし40歳~50歳以上でクリニックを開業し、かつ自分が引退しても閉院したくないなら、今のうちから後継者について少し考えておくと良いでしょう。

(参考:厚生労働省_令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況

 

廃業の理由2.「資金繰りが上手くいかなかった」

開業医が廃業する理由として、資金繰りの失敗も挙げられます。

もともと医師は医療のプロであって、財務や経営のプロではありません。

とくに慣れない開業したての時期は、何かとわからないことも多いでしょう。

さらに土地、建物、医療機器が高額なため、独立開業するとなると開業資金や運転資金も高額になります。

このようにクリニックを開業して間もない時期だと、資金繰りが悪化する要因が多く、場合によってはクリニックの経営が成り立たなくなってしまう危険性があるのです。

資金繰りで失敗しないように、財務については医療関係に強い税理士を探して、常に相談できる状態にしておきましょう。

 

廃業の理由3.「集患が上手くいかなかった」

集患が上手くいかず、クリニックを廃業してしまうケースもあります。

集患という観点でいうと、開業時、とくに失敗しやすいのが立地です。

たとえば、ターゲットとなる住民の動線から外れた土地にクリニックを建ててしまったり、競合が多い土地で開業してしまったりすると、思ったように集患できない可能性があります。

クリニックを開業する場合、事前の調査が非常に重要です。

そのうえで宣伝にも力を入れ、エリアでの周知を図らなければいけません。

開業医となる以上、あなたは医師であると同時に経営者でもあります。

場合によってはマーケティングのプロに相談してでも、患者さんが来てくれるクリニックづくりをやっていきましょう。

 

廃業の理由4.「人間関係が上手くいかなかった」

病院での人間関係に嫌気がさしている勤務医の方からすると意外かもしれませんが、クリニック内での人間関係が上手くいかず、廃業してしまうケースも考えられます。

残念ながら、独立しても人間関係の悩みは付き物です。

一人医師で開業しているならあなたは実質クリニックのトップですが、もちろん医師だけでクリニックの運営は回りません。

良いスタッフを集め、みんなで協力しながら運営していく必要があるんです。

しかしクリニック内の人間関係が悪化してしまうと、優秀なスタッフが辞めてしまうリスクが高まります。

新しく人を雇うにしても、教育コストはバカになりません。

結果、クリニックが人手不足に陥り、それを理由にさらにスタッフが辞めるという、負のサイクルに陥ってしまうわけですね。

そうならないためにも、クリニックのトップである医師が率先して良い雰囲気づくりを心掛ける必要があります。

 

廃業の理由5.「その他の外部要因」

そのほかの外部要因が原因となって廃業するクリニックもあります。

たとえば、以下のような要因です。

  • 医師が体調を崩してしまった
  • ショッピングモール内にクリニックを構えていたが、モール自体が閉館してしまった
  • 新型コロナウイルス流行の影響

このような外部要因については多岐に渡るため、対策を決め打ちするのは難しいです。

クリニックに限った話ではありませんが、経営をしている以上、いつどんな問題が起こるかはわかりません。

しかし、日ごろから安定した経営を心掛け、後継者問題の対策や良好な人間関係の構築をしておけば、対応力は高めることができるでしょう。

 

クリニックを廃業しないために必要なこと

クリニックを廃業しないために必要なこと

先に説明した開業医が廃業する理由を踏まえ、クリニックを廃業しないために必要なのは以下のようなことです。

  1. 経営にかんする知識、スキル
  2. マーケティングスキル
  3. 計画性
  4. 良好な人間関係
  5. 後継者

まず必要なのが、やはり経営スキルです。

先にも述べたとおり、クリニックを開業した以上、あなたは医師であると同時に経営者でもあります。

そのため医療行為だけでなく、経営方針や資金繰りについても考えなければいけません。

まずは自分が経営者であるという自覚を持ち、経営にかんする知識を学ぶようにしましょう。

次に、マーケティングスキルも重要です。

自分でクリニックを構える以上、利益が出せるように集患についても考えなければいけません。

自分でやるのが難しい場合は、プロのマーケターに相談するのも1つのです。

また、開業時に重要なのが計画性です。

開業資金、運転資金、クリニックの立地などは、事前に調査し、しっかり計画してから動き出す必要があります。

あとはスタッフとの良好な人間関係も、廃業リスクを減らせる要因です。

とくに優秀なスタッフの確保はクリニック運営でネックとなりやすく、人手不足は大きな廃業リスクとなります。

そのため優秀なスタッフが長く勤めてくれるように、居心地の良い人間関係を能動的に築いていきましょう。

また、もしあなたが高齢で、かつ廃院したくないと考えているなら、後継者についても早いうちから考えておいてください。

これら5つのことをしっかりと考え、準備しておけば、廃業リスクは大きく下げられるはずです。

 

クリニックを開業するリスクは高い?

クリニックを開業するリスク

ここまで記事を読んできて、「クリニックを開業するリスクは高い」と思われたかもしれませんが、きちんとポイントさえ押さえればむしろ廃業リスクは低いと言えます。

なぜならクリニックを開業できるのは基本医師だけなので参入障壁が高く、ライバルが増えにくいからです。

また、医師の需要は流行などでなくなることがない、というのも大きなプラス要因ですね。

実際、冒頭でもお話ししたとおり、クリニックの廃業率は一般法人の廃業率と比べると1/3以下となっています。

そのため必要以上にクリニック開業のリスクを恐れる必要はありません。

とはいえ、きちんと計画性を持って開業しなければ、失敗のリスクは高まります。

今回の記事を参考にして、廃業リスクを抑えた開業を心掛けてください。

 

ちなみに私たち「池上会計」は、医療関係を強みとしている会計事務所です。

とくに開業時には開業資金やまとまった運転資金が必要となり、資金繰りにも苦労されるかと思います。

その点、私たちは池上会計は、医療関係の融資や資金繰りにかんしても得意分野です。

もしこれからクリニックを開業する、もしくは開業すべきか悩んでいる場合は、ぜひ1度池上会計にご連絡ください。

今なら初回相談は無料とさせていただいています。

 

【まとめ】独立開業は計画的に行おう

今回は、開業医の廃業率について解説をしてきました。

クリニックの廃業率は0.47%と、数字のうえでは高くはありません。

一般法人の廃業率1.65%と比べても1/3以下です。

開業医の廃業率は年々増加傾向にはありますが、それでも一般法人の起業と比べると廃業リスクは低いと言えるでしょう。

とはいえクリニックの廃業を避けるためには、廃業のリスクとなる要因を理解したうえで、計画性を持って開業することが重要です。

とくにクリニック開業に伴って自身が経営者になるという自覚が足りていない開業医は多いので、その点はしっかりと理解しておきましょう。

クリニックの廃業リスクについては、押さえるところさえ押さえておけば必要以上に恐れる必要はありません。

もしクリック開業を考えている、もしくは悩んでいるという場合は、ぜひ1度池上会計にご相談ください。

今なら初回相談無料とさせていただいており、LINEでご質問いただくことも可能です。