今回は、クリニックの中でも独立開業するメリットがとくに大きいと言われている歯科医院の経営について、税理士目線で解説していきます。
そもそも「開業医は稼げる」というイメージを持っている方は多いですが、どのクリニックも平等に稼いでいるというわけではありません。
毎日多くの患者が訪れるクリニックもあれば、経営難に陥ってしまうクリニックもあります。
だからこそ歯科医院を独立開業するときに考えなければいけないのが「経営」です。
そこで今回は歯科医院の経営について重要なポイントを解説していきます。
経営について経験がないなら、ぜひ参考にしてみてください。
歯科医院を開業するならまず経営について考えるべき
冒頭でもお話ししましたが、歯科医院を開業したいならまず最初に「経営」について考えなければいけません。
病院といえど本質は客商売です。
患者さん目線で考えてみてください。あなたも患者として病院に通う場合、いくつもある病院から自分にとって都合の良いところを探すのではないでしょうか。
たとえば「医師の対応が良いから」、「通いやすい立地だから」、「口コミが良いから」、「駐車場が完備されているから」、「受付などの接客が良いから」など、色々な判断基準で考えるはずです。
そして、1つのクリニックを選んで足を運びます。
このようにクリニックを運営するためには、患者さんに選ばれる必要があるわけですね。
そしてほかの商売と同様、同じ町内に競合がいることもありますし、悪い口コミがついて客足が遠のいてしまうことも普通にあり得るのです。
だからこそ歯科医院を独立開業するなら、まずは「経営」について考える必要があります。
とくに立地やクリニックのコンセプトは開業前に考えなければいけないうえに、1度走り出してしまうと修正が困難です。
ほかにも、どれくらいの開業資金や運転資金が必要で、見込の年商がどれくらいで、自分の年収はいくらになるのか、など、数字として考えなければいけないこともたくさんあります。
医師にとって経営は不慣れなものなので、ついつい軽視したり、後回しにしたりしがちです。
しかし、甘くみていると場合によっては取り返しのつかないことになってしまいます。
歯科医院を始めとしたクリニックを開業したいなら、まずは「クリニックを独立開業するなら経営は必須」ということを念頭に置いておきましょう。
歯科医院の経営における5つの重要ポイント
歯科医院の経営を考えるうえで、重要視しなければいけないのが以下の5つのポイントです。
- ビジョン
- 立地
- ターゲット
- スタッフ
- 口コミ
これらをしっかりと考えるか考えないかで、経営基盤は大きく変わってくるはずです。
それでは、それぞれ詳しく解説していきましょう。
歯科医院経営のポイント1.「ビジョン」
歯科医院の経営でまず考えるべきなのは「ビジョン」です。
ビジョンとは組織のあり方であり、どのようなクリニックにしていくか、という経営全体の方針となります。
そこで重要となるのが、「あなたが何のために開業したいのか」という部分です。
たとえば「常に最先端の治療を提供できるクリニックにしたい」、「患者との関係性や予防歯科を大事にして一生涯通ってもらえるクリニックにしたい」、「昔から住んできた地域に恩返しできる地域密着型のクリニックにしたい」など、開業する歯科医院をどのようなクリニックにしたいか、ということですね。
このビジョンが明確になっていないと、クリニック内で団結できなかったり、クリニックが成長できなかったりする原因となります。
そうならないためにも、歯科医院を開業するならまずはどのようなビジョンを掲げるのかしっかりと考え、スタッフにも浸透するように明文化しましょう。
ただし、ビジョンを追い求めるあまり収益性が下がりすぎてしまうのはいけません。
ビジョンと収益性はきちんとバランスを取り、両立させるのが重要です。
歯科医院経営のポイント2.「立地」
次に「立地」についてもしっかりと考えなければいけません。
ビジョンと照らし合わせ、どの地域で開業したいか考えてみてください。
もちろん、ビジョンに合えばどこでも良いわけではありません。
- 地域に住んでいる人の特徴
- 診療範囲内の潜在患者数
- 住民の動線
- 競合となるクリニックの存在
- 土地の価格や物件の賃料
など、考えなければいけないことはたくさんあります。
また、条件の良い地域をみつけたとしても、必ずしも良い物件や土地があるとも限りません。
極論、場所選びを間違えただけで集客や経営が上手くいかなくなることもあるので、クリニックの場所についてはしっかりと調査するようにしましょう。
歯科医院経営のポイント3.「ターゲット」
どのような層を「メインターゲット」とするのかも、歯科医院の経営では重要なポイントです。
たとえば大きなところでいうと、大人をメインターゲットにするのか、子どもをメインターゲットとするのか、ということですね。
大人をターゲットにするなら落ち着いた内装にして、治療の説明をしっかりとした方が良いでしょう。
一方、子どもをターゲットとするなら、待合室におもちゃを置いて、優しい接客を心掛ける、といった感じです。
もちろん、大人、子どもといった大きな枠組みだけでなく、ターゲットを絞ろうと思えばもっと細かく絞ることもできます。
メインとするターゲットによって動線も変わってくるので、クリニックの場所や営業時間などにも影響が出てくるはずです。
もしくは特定の治療に特化した専門クリニックとして打ち出す戦略もあるでしょう。
このことから、どのような層をメインターゲットとするのかは、歯科医院の経営において非常に重要なポイントの1つです。
歯科医院経営のポイント4.「スタッフ」
歯科医院の経営で意外と難しいのが「スタッフ」です。
まず優秀なスタッフを確保することを考えなければいけませんし、そのあとのスタッフ育成や、スタッフとの関係性についても考えなければいけません。
とくに幹部スタッフ(管理職)の見極めは、かなり重要な事項となります。
仮に幹部としての適性がないスタッフを管理職にしてしまうと、それが原因で組織がバラバラになってしまうことさえあり得るからです。
適性については、仕事をがんばるのはもちろんですが、何でもかんでも自分でやるのではなく、部下に仕事を任せたうえでフォローや教育ができる人を管理職にすると良いでしょう。
また管理職以外に対しても教育は非常に重要です。
スタッフの働き方によって病院の評判も大きく変わってきます。
歯科クリニックのトップは確かに歯科医である先生ですが、その先生だけで運営が回るわけではなく、クリニックの評判が決まるわけでもない、ということですね。
歯科医院経営のポイント5.「口コミ」
ネットが当たり前である今の時代、歯科医院の経営をするうえで避けては通れないのが「口コミ対策」です。
口コミについては、以下の2点を考える必要があります。
- 口コミ集客
- 低評価口コミへの対応
患者さんの中には、口コミを参考にして病院を決める人も多いです。
そのため、いかにGoogleマップや自社HPなどで高評価の口コミを集めるかが集客のカギとなります。
また同じくらい重要なのが、低評価への対応です。
高評価の口コミが多ければ良いというのはもちろんなのですが、低評価の口コミにどう対応するかというのも、クリニックの集客に大きく影響します。
もちろん、歯科医である先生の対応やスタッフの教育を徹底して、低評価の口コミが付かないような運営をするのが前提です。
ただ、それでも悪い口コミが付いてしまうことがあります。
そのときは、患者さんの声を真摯に受け止め、改善する姿勢を見せるようにしましょう。
そうすることでクリニックの評価を保つことができますし、低評価を付けた患者さんにも納得してもらえます。
またどのようなポイントで高評価の口コミが付くのか、低評価の口コミが付くのか、というポイントをまとめた書籍などもあるので、事前に勉強しておくのも良いですね。
このように低評価に対する対応をしっかりとし、高評価が付く接客や設備投資を心掛けることで良い口コミが集まり、地域での評判も良くなっていくはずです。
優秀な税理士と組むことも経営には重要
歯科医院を運営していくなら、優秀な税理士と組むことも重要な要素だといえます。
なぜなら同じ税理士でも、事務所によって対応が大きく異なるからです。
まず以下のように、税理士によって「どこまで仕事をしてくれるのか」が異なります。
- 正確な税務を淡々とこなす会計事務所
- 節税など、税務に対する提案までしてくれる会計事務所
- 税務だけでなく、クリニックの経営に関しても提案してくれる会計事務所
このように同じ税理士であっても、事務所によって対応は大きく違ってくるのです。
また、税理士にはそれぞれ得意な業界や分野というものが存在しています。
医師にも専門の診療科目や得意な技術などがあると思いますが、ある意味それと同じですね。
当然、経験の多い得意な業界のことは詳しいので色々と提案してきてくれますが、経験があまりない業界のことはあまり提案ができません。
そのため歯科医院を開業するなら、以下の2点にあてはまる税理士を探すことをおすすめします。
- 税務だけでなく、経営に関することまで提案してくれる税理士
- 医療業界を得意としている税理士
ちなみに私たち池上会計は、まさにこの2つを兼ね備えている会計事務所です。
私たちは「お客様の結果」にこだわることをモットーとしているため、お客様の経営が上手くいくよう、税務に限らない、幅広いご提案、ご協力をさせていただいています。
また医療関係を得意分野としているので、歯科医院を始めとしたクリニックの独立開業や医療法人化についても強いです。
今なら初回相談は無料とさせていただいているので、もし歯科医院の独立開業をお考えであったり、経営に悩んでいたりするなら、この機会にぜひ1度お話をお聞かせください。
【まとめ】歯科医院経営は本気で取り組むべき
今回は歯科医院の経営について、税理士目線で解説をしてきました。
歯科医院に限らず、クリニックを開業するのなら、経営については必須で考えなければいけません。
とはいえ本業の医師としての仕事が忙しく、専門外である経営までなかなか頭が回らないというのが実情ではないでしょうか?
そのため、経営の専門家にアドバイスをもらうというのも1つの手です。
たとえば私たち池上会計のような、経営や医療業界に詳しい税理士を探して顧問になってもらうのも良いでしょう。
ただし、一言で税理士といっても仕事内容はピンキリです。
中には税務しかやらず、節税や経営に関する提案がほとんどないような税理士もいるので注意してください
医師はあくまでも医療のプロなので、経営についてはあまり詳しくなくて当たり前です。
しかし、トップとして歯科医院を経営する以上、あなたは医師であると同時に経営者でもあります。
だからこそ経営をないがしろにせず、しっかりと向き合うようにしましょう。