今回は「相続税対策を目的とした法人化」について解説していきます。
日本は世界でもかなり相続税が高い国で、税率は最大で55%とかなり高いです。
せっかく財産を残してもらえても、半分以上税金として取られてしまうケースもあります。
そこで相続税対策として検討すべきなのが法人化(会社設立)です。
今回は、「相続税対策を目的とした法人化はありなのか?」、「どのようなメリット・デメリットがあるのか?」といった点を解説していきましょう。
相続税対策を目的とした法人化はあり?
結論からいうと、相続税対策を目的とした法人化(会社設立)はありです。
冒頭でもお話ししたとおり、日本は世界で見てもかなり相続税が高い国です。
それこそ相続する資産額によっては世界一相続税が高くなってしまうケースもあります。
日本の相続税の税率について、具体的には以下のとおりです。
※画像引用:国税庁
この速算表をもとに、相続する人毎に相続税を計算します。
たとえば、課税遺産総額(正味の遺産額 - 基礎控除)が1億5,200万円、法定相続人が妻と子2人のケースで考えてみましょう。
ちなみに課税遺産総額は下記のような計算で導き出されます。
※画像引用:国税庁
法定相続分は妻が1/2、2人の子どもが1/4ずつです。
そのため法定相続分に応ずる取得金額は、妻が7,600万円、子が3,800万円ずつとなります。
これらの金額を相続税の速算表に当てはめると、算出税額は以下のとおりです。
妻 7,600万円 × 30% – 700万円 = 1,580万円
子 3,800万円 × 20% – 200万円 = 560万円
相続税の合計 = 1,580万円 + (560万円 × 2人) = 2,700万円
※参考:国税庁
このように相続税はかなりの高額となることから、法人化にかかる手間や費用を考えても十分に効果を見込めるわけです。
とくに相続する金額が高ければ高いほど節税効果を見込めます。
相続税対策を目的として法人化するメリット
相続税対策という視点で法人化する場合、以下のようなメリットがあります。
- 報酬の分配で資産を分散できる
- 相続税の財産評価を下げることができる
それぞれ解説していきます。
メリット1.「報酬の分配で資産を分散できる」
法人化することで資産を分散し、相続税を抑えることができます。
具体的にはプライベートカンパニーを設立して、その役員に配偶者や子どもを選任します。
そして役員報酬を支払うことで、高い相続税を納めず、徐々に資産を渡せるわけですね。
メリット2.「相続税の財産評価を下げることができる」
資産をプライベートカンパニーの株式にしておくことで、財産評価を下げることができます。
なぜなら非上場企業の株式の場合、評価によって株価が総資産額よりも低く抑えられる可能性があるからです。
そのため被相続人(財産を残して亡くなった方)が資産を株式で持っていた場合、評価が低くなった分資産にかかる相続税を節税できる可能性があります。
必ずしも株価の評価が低くなるとは限りませんが、1つの節税手段として覚えておくと良いでしょう。
相続税対策を目的として法人化するデメリット
続いて、相続税対策を目的とした法人化のデメリットについては以下のようなものが挙げられます。
- 遺産額によっては損をする
- 手間や費用がかかる
それぞれ解説していきましょう。
デメリット1.「遺産額によっては損をする」
遺産額が少ない場合、節税できる相続税よりも役員報酬にかかる税金や法人の運用コストの方が高くつく可能性があります。
つまり、せっかく法人を設立しても損にしかならないということです。
相続税対策で法人化をするなら、どれくらいの節税効果があるのか事前にしっかり計算しておきましょう。
デメリット2.「手間や費用がかかる」
法人を設立するには、それなりの手間や費用がかかります。
設立費用については、株式会社ならおよそ22万円~25万円、合同会社なら10万円~11万円程度です。
もちろん、法人の運転資金もかかります。
さらに法人は赤字であっても年間で最低7万円の法人住民税を納税しなければいけないため、手軽に設立できるものではありません。
とはいえもちろん、それ以上の節税効果が見込めるのであれば問題はないです。
さらに池上会計では「法人設立を丸投げできるパック」を用意しているので、こちらをご利用いただけば法人設立の手間もほとんどかかりません。
重要なのは、これらのデメリットを容認できるほどの節税メリットがあるかどうか、ということですね。
相続税対策を目的として法人化する場合は注意が必要
相続税対策を目的として法人化する場合は、よく注意して実行に移す必要があります。
ここまでに説明したとおり、法人化にはメリットもある反面デメリットもあるため、これらをよく検討したうえで節税効果がプラスになることをしっかりと確認しなければいけません。
また節税対策は、間違えたやり方をすると脱税になってしまいます。
遺産の額が大きい場合、脱税扱いされてしまったときのペナルティもかなり大きくなってしまうので注意しなければいけません。
要は、節税効果やデメリットをしっかりと把握したうえで、正しい方法で相続税対策をしなければいけないということですね。
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【まとめ】相続税対策を目的とした法人化は専門家に相談するべき
今回は相続税対策を目的とした法人化について解説をしてきました。
結論から言うと、相続税対策を目的として法人化する選択肢はありです。
とくに遺産額が大きい場合は、高い節税効果を期待できます。
しかし一方でデメリットもありますし、そもそも間違えた節税対策をしてしまうと脱税になってしまうので注意が必要です。
だからこそ相続税対策での法人化を検討しているなら、ぜひ1度専門家に相談してみてください。
専門家に相談すれば、どれくらいの節税になって、デメリットがどのくらいあるのかを明確にすることができます。
もちろん専門家に任せれば、脱税にならない正しい節税が可能です。
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