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医療法人の資本金はどれくらい?調べ方や基金、出資持分について解説

医療法人資本金

今回は医療法人の資本金や基金について解説をしていきます。

医療法人化を考えるときに気になるのが、「最初にいくら用意すれば良いのか?」というお金の問題ではないでしょうか。

また医療法人は普通の法人とは違って資本金ゼロとなるケースが多いため、そのあたりがややこしく感じる人も多いです。(後述しますが、医療法人設立時の費用が不要というわけではありません)

そこで今回は医療法人の資本金、基金の違いについて詳しく解説していきます。

実際にいくらお金を用意すれば良いのかや医療法人の資本金を語るうえで外せない出資持分についても解説をしていくので、ぜひ参考にしてください。

  

医療法人における資本金とは

資本金とは、法人を設立するさいの元手金のことです

経営者自らが用意した自己資金のほか、株主や投資家から集めた資金も含まれます。

ただし今から医療法人を設立する場合、資本金は基本的に「0」です。

後述しますが、医療法人で資本金を経理しているのは出資持分ありの医療法人に限られます。

そして2007年の医療法改正により、現在は新たに出資持分あり医療法人を設立することができません。

では現在の医療法人は法人設立時にお金が必要ないのかというとそういうわけではなく、出資持分なし医療法人の場合、資本金の代わりに基金というかたちで資金調達を行います。

 

医療法人における基金の扱い

基金とは、社団医療法人に拠出された金銭や財産で、医療法人が拠出者に対して、定款の定めによって金銭の返還義務を負うものです。

基金とは、社団医療法人に拠出された金銭その他の財産であって、当該社団医療法人が基金の拠出者(以下「拠出者」といいます。)に対して医療法施行規則第30条の37及び第30条の38並びに当該医療法人と拠出者との間の合意の定めるところに従い返還義務(金銭以外の財産については、拠出時の当該財産の価額に相当する金銭の返還義務)を負うものと規定されています。

国税庁

返還義務があるため、基金は簡単にいうと拠出者から法人に対する貸付金の一種となります。

基金はあくまでも基金であり、資本金とは別の扱いです。

そのため出資持分なし医療法人の基金がいくらであろうと、資本金は0円として経理されます。

ちなみに、基金の返還にかかわる債権には利息を付けることができないので注意してください。

また、定款で返還義務の定めをしていない場合は寄附の扱いになり、返還を求められなくなるので、そちらも注意が必要です。

 

資本金と基金の違いによる税金への影響

出資持分なし医療法人では資本金が0円となるため、税金面でも影響があります。

たとえば法人税の場合、課税対象となる所得を計算するときに資本金の額を使うことがありますが、基金がいくらあっても資本金は0円として計算しなければいけません。(たとえば損金算入できる寄付金の限度額は資本金に左右されます)

また、法人住民税の「均等割」についても、資本金0円の影響は大きいです。

法人住民税の均等割は会社の資本金、従業者人数によって決まるため、資本金が0円の扱いになることで税金が安くなります。

このように資本金か基金かによって税金への影響があるので、医療法人設立を考えているなら知っておいてください。

 

医療法人の出資持分について

出資持分

医療法人の資本金(基金)を語るうえで理解しておかなければいけないのが、「出資持分あり」と「出資持分なし」の違いです。

出資持分とは、出資者の財産権のことを指します。

たとえば出資持分ありの医療法人の設立時に2人で100万円ずつ資本金を出し、その20年後に医療法人の財産が1億円あるケースだと、その財産は資本金を出した2人のものです。

仮に1億円の財産がある状態で医療法人を解散した場合、単純計算で2人に5,000万円ずつの財産が残る計算ですね。

一方、持分なしの医療法人の場合、解散時にいくら財産があったとしても、その財産は拠出者のものにはなりません。

解散時に医療法人にあった財産はすべて国のものになります。

これが出資持分(財産権)の簡単な考え方です。

この違いから、持分あり医療法人への出資は資本金として経理され、持分なし医療法人への出資は基金というかたちで経理されるわけですね。

ちなみに前述したとおり、2007年の医療法改正によって現在は新たに持分あり医療法人を設立することができません。

今から設立される医療法人はすべて出資持分なしとなります。

そのため必然的に、今から設立される医療法人の資本金はすべて0円であると言えるわけです。

 

医療法人設立にはいくら必要か

資本金であれ基金であれ、医療法人を設立するときに現金が必要となることに変わりはありません。

医療法人を設立する場合は、おおむね運転資金の2か月分を目安として現金を用意する必要があります。

なぜ2か月分かというと、保険診療料の入金が翌々月になるからです。

新たに医療法人化を考えている場合は、自分のクリニックの運転資金を計算し、少なくとも2か月分の運転資金を基金もしくは寄附金として用意するようにしましょう。

 

出資持分あり医療法人の資本金を調べる方法

資本金調べる

2007年以前に設立された持分あり医療法人の資本金がいくらなのかは、出資申込書や登記簿謄本に記されています。

出資持分ありの医療法人が労働局から出資金額を証明する書類を求められるケースもあるようなので、その場合は出資申込書のコピーと登記簿謄本を用意すると良いでしょう。

ちなみに2007年以前に設立された持分あり医療法人設立時の資産総額を知りたい場合は、閉鎖事項証明書で登記簿謄本を請求してください。

履歴事項全部証明書で請求すると、「交付請求があった日から3年前の1月1日~請求日」の間に登記された事項しか記載されません。

 

【まとめ】今から医療法人を設立する場合は資本金ゼロ

今回は医療法人の資本金について解説をしてきました。

結論からいうと、今から医療法人を設立する場合、資本金は0円となります。

これは資本金を経理できるのは出資持分ありの医療法人だけであり、現在は出資持分なしの医療法人しか設立することができないからです。

出資持分なしの場合、基金、もしくは寄附として拠出を行います。

ただし、基金(寄附)と資本金は経理上別のものなので、出資持分なしの医療法人でいくら資金を用意しても資本金は0円となるわけですね。

これから医療法人を設立する場合は出資持分なしにしなければいけない、つまり資本金は0円となるという点は、理解しておきましょう。

 

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