今回は「法人化できない人」について解説していきます。
「法人化できない人」と一言で言っても、そのケースはさまざまです。
また中には、「自分は法人化できない」と思っている人でも、実は問題なく法人化できるケースがあります。
そこで今回は、「法人化できない人の種類」、「実は法人化できる人」、「法人化できるか確認する方法」について解説していきます。
法人化について悩んでいるなら、ぜひ参考にしてみてください。
法人化できない人の種類
法人化できない人には、以下のような種類があります。
- 法人化がよくわかっていない
- 法人化するメリットがない
- 取締役になれない
それぞれどういうケースなのか、解説していきましょう。
法人化がよくわかっていない
そもそも「法人化がどういうものかわかっていない」、もしくは「法人化の方法がわかっていない」から法人化できない、というケースです。
言ってしまえば、法人化に関する知識が不足している状態ですね。
このような状態なので、当然法人化に向けた動きはできません。
もしそれでも法人化が気になっているなら、まずは自分で色々と調べてみたり、税理士などの専門家に相談してみたりするべきです。
法人化するメリットがない
「メリットがないからまだ法人化できない」というケースもあります。
別記事で詳しく解説していますが、法人化には以下のようなメリット・デメリットがあります。
〇法人化のメリット
- 税制上有利になる
- 取引先や金融機関からの信用が高くなる
- 採用がしやすくなる
- 赤字(欠損金)を10年間繰り越せる
- 個人の責任範疇が制限される
- 決算期を自分で決められる
- 社会保険に加入できる
〇法人化のデメリット
- 法人設立、閉鎖には手間や費用がかかる
- 従業員も社会保険に加入させないといけない
- 事務作業の手間が増える
- 赤字でも納税が発生する
- 交際費のルールが厳格化する
総じて言えるのが、ある程度の事業規模がないとメリットを感じづらく、むしろデメリットの方が大きくなってしまうという点です。
会社の信頼性が重要になる事業であれば別ですが、そうでなければ売上が少ない状態で無理に法人化はしない方が良いでしょう。
取締役になれない
「自分が取締役になれないから法人化できない」というケースも多いです。
下記のような欠格事由がある場合、取締役に選任することはできません。
- 法人
- 会社法、証券取引法、破産法など会社に関連する法律違反の罪を犯し、刑の執行が終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 上記3以外の罪を犯して禁固以上の刑に処せられ、または刑を受けることがなくなるまでの者(執行猶予中の者は除く)
(参考:会社法331条)
自分がこのような条件にあてはまる場合は、ほかに取締役を立てられなければ法人化することができません。
とくに一人法人を設立したい場合は、欠格事由にあてはまらなくなるまで待つ必要があります。
法人化できなさそうでできる人
ここまで法人化できない人を解説してきましたが、逆に以下のような人は法人化できなさそう(取締役になれなさそう)に見えても、実は条件次第で法人化可能です。
- 未成年
- 前科がある
- 外国籍
- 自己破産している
- 成年被後見人、被保佐人
もしあなたがこれらにあてはまるなら、法人化を諦めるのはまだ早いです。
1つずつ解説していくので、ぜひチェックしてみてください。
未成年
法人の取締役には、15歳以上であれば未成年であってもなれます。
会社法において、会社設立にあたる年齢制限の取り決めがないからです。
ただし、15歳以下の場合は印鑑登録ができず、会社設立に必要な印鑑証明書を出せないので実質不可となります。
また未成年者が取締役となる場合は親の同意が必要です。
そのため通常の書類に加えて同意書や戸籍標本など、「親権者の存在や同意を確認できる書類」が必要となります。
ただその条件さえクリアすれば、未成年であっても15歳以上であれば法人化(取締役になること)は可能です。
前科がある
たとえ前科があったとしても、「取締役になれない」で解説した以下の欠格事由に該当しなければ、法人化(取締役になること)は可能です。
- 会社法、証券取引法、破産法など会社に関連する法律違反の罪を犯し、刑の執行が終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 上記3以外の罪を犯して禁固以上の刑に処せられ、または刑を受けることがなくなるまでの者(執行猶予中の者は除く)
(参考:会社法331条)
逆にこれらにあてはまる場合は、条件から外れるまでは取締役になれません。
外国籍
外国籍の方でも、日本で会社を設立することは可能です。
手続きについても、日本人が行う場合と大きく違うところはありません。
ただし、外国籍の方の場合は以下の条件に注意してください。
- 印鑑証明がない場合はサイン証明書などが求められる
- 日本で会社経営するためには「経営・管理ビザ」を取得する必要がある(「日本人の配偶者等」、「定住者」、「永住者」、「永住者の配偶者等」の在留資格がある場合を除く)
- 法務局に提出する書類には日本語訳が必要となる
ほかにも色々と想定外のことが起こる可能性もあるので、基本的には税理士など日本の専門家に頼ることをおすすめします。
経営・管理ビザの取得条件
「経営・管理ビザ」を取得する場合、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 経営主体となる事業所がすでにあること(バーチャルオフィスはNG)
- 資本金か出資の総額が500万円以上または2名以上の常勤職員を雇用していること
- 経営者本人に経営能力があり、事業の安定性・継続性があると判断できること
経営・管理ビザの取得を考えているなら把握しておいてください。
自己破産している
自己破産していても法人化する(取締役になる)ことは可能です。
ただし自己破産中および自己破産をした後には、いくつかの制約があります。
〇自己破産中の制約
- 財産を自由に処分できない
- 一部の資格・職業に制限がある
- 居住地・通信に制限がかかる
- 一時的に取締役を退任する必要がある
〇自己破産後の制約
- 融資を受けづらくなる
- ローン、クレジットカードの利用ができなくなる
- 信用情報にキズが残る
このようにさまざまな制約を受けることになりますが、自己破産をしていても法人化(取締役の選任)自体は可能です。
成年被後見人、被保佐人
成年被後見人、被保佐人について、以前は取締役選任の欠格事由とされていましたが、2021年3月の会社法改正によって欠格事由から削除され、取締役に選任できるようになりました。
ただし会社法では、「成年被後見人が取締役に就任するには、その成年後見人が、成年被後見人の同意(後見監督人がある場合にあっては、成年被後見人及び後見監督人の同意)を得た上で、成年被後見人に代わって就任の承諾をしなければならない」とされています。
また、「被保佐人が取締役に就任するにはその保佐人の同意を得なければならない」ともされています。
(参考:会社法331条)
このように成年被後見人、被保佐人が取締役に就任する場合は、承認または同意が必要になる点を押さえておきましょう。
法人化できるか確認する方法
実際、自分(自社)が法人化できるか確認したいなら、税理士などの専門家に聞いてみることをおすすめします。
自分が取締役になれるかどうかといった点でもそうですし、何よりも本当に今が法人化するべきタイミングかどうかを見極めたうえで色々と教えてもらえるからです。
さらに今が法人化するべきタイミングなら、そのまま手続きを依頼することもできます。
もちろん財務や税制に強く、自分で判断できるならそれでも良いのですが、実際にどれくらいの節税効果があるのか自分で計算できない場合は、1度専門家を頼ってみてください。
ちなみに私たち池上会計は「お客様の結果にこだわる」をモットーに、多数の法人化案件を取り扱ってきました。
そのため今が法人化するべきタイミングでない場合は、きっちりそのことをお伝えさせていただき、無理な法人化を勧めることはありません。
さらに「法人化の手続きを丸投げしていただけるパック」もあるので、その後の手続きについてもすべてお任せいただけます。
現在、初回相談を無料とさせていただいているので、法人化について悩んでいる、疑問点がある、という場合は、ぜひこの機会に1度ご相談ください。
【まとめ】法人化できない人はまず相談するべき
今回は「法人化できない人」について解説させていただきました。
法人化できない理由には色々とありますが、どのような理由であれ、まずは税理士などの専門家に相談してみることをおすすめします。
自分で判断すると勘違いも起こりやすいです。
その点専門家を頼れば、そもそも今本当に法人化するべきかどうかから色々と教えてもらえます。
ただし、専門家はきちんとアドバイスしてくれるところを選んでください。
中には事務的な部分のみを請け負い、あまり建設的なアドバイスをしてくれないところもあるので要注意です。
専門家を選定する場合は、事前に口コミなどを確認しておく方が良いでしょう。
ちなみに、もちろん私たち池上会計であれば、お客様の利益を第一に考えてさまざまなアドバイスをさせていただきます。
さらに「法人化の手続きを丸投げしていただけるパック」のご用意もあります。
今なら初回相談は無料とさせていただいているので、法人化について悩んでいることがあればぜひご連絡ください。