今回は「運転資金の融資はどこで受ければ良いか?」というテーマで、調達方法や借入理由の伝え方について解説していきます。
事業を拡大するうえで、どのように資金調達するかは非常に大きなテーマです。
中でも運転資金の融資とは、仕入れや給与支払い、家賃、光熱費といった事業を維持するために必要な費用の借入を意味します。
今回はその運転資金の融資について、実際に資金調達のお手伝いをしている税理士の視点から詳しく解説していきます。
運転資金の融資を受けたいと考えている場合は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
目次
運転資金とは?

冒頭でもお話ししたとおり、運転資金とは事業を維持するために必要な費用のことです。
運転資金にもいくつかの種類があり、借入をする際はどのような資金を借りるのかを明確にしなければいけません。
- 経常運転資金
- 増加運転資金
- 減少運転資金
- 季節性運転資金
- 設備未払金決済運転資金
それぞれどのような費用なのか、詳しく解説していきましょう。
経常運転資金
経常運転資金は、現在運営している事業を維持・運営し続けるための費用です。
主に仕入費、人件費、家賃、水道光熱費などが挙げられます。
今すでに必要になっている費用のため、イメージしやすいのではないでしょうか。
増加運転資金
増加運転資金は、事業が成長して売上が伸びている関係で、今の運転資金に加えて必要になる費用のことです。
たとえば、事業成長に伴う仕入費、人件費、諸経費などの増加分が挙げられます。
事業成長を加速させるために追加で必要になる運転資金と考えれば良いでしょう。
減少運転資金
減少運転資金は、事業が不調で売上が減少したために必要となる費用のことです。
たとえば仕入費、人件費、家賃、水道光熱費などの不足分が挙げられます。
要は、事業の不調が原因で追加投入しなければいけない運転資金ですね。
また起業後、経営が軌道に乗るまでのつなぎ資金として融資を受けるケースもあります。
季節性運転資金
季節性運転資金は、特定の季節や時期に必要となる費用のことです。
たとえば下記のような費用が挙げられます。
- 賞与の支払い
- 繁忙期に増える仕入れ額
- 閑散期に売上が下がった際に必要となる費用
- 高額の設備投資
これらのように、スポット的に必要となる費用のことを季節性運転資金といいます。
設備未払金決済運転資金
設備未払金決済運転資金は、設備や機器を購入・リースした費用を何らかの事情で半年以上支払えなかった場合に、それを補填するための費用です。
ちなみに半年経つまでは、これらの費用は設備投資として扱います。
つまり設備未払金決済運転資金は、設備投資をしたものの支払いが滞ってしまった場合に必要となる補填費用です。
運転資金の融資を受ける5つの方法

運転資金の融資を受ける方法(融資元)には、主に下記5つの選択肢があります。
- 銀行
- 信用金庫
- 日本政策金融公庫
- ノンバンク
- 自治体の融資制度
それぞれ具体的にどのような融資元があり、どのような特徴があるのか、1つずつ解説していきましょう。
1.銀行
融資元の選択肢として最初に思いつくのが銀行ではないでしょうか。
銀行にもメガバンク、地方銀行など選択肢がありますが、総じて金利が低いことがメリットで、審査が厳しいことがデメリットとなります。
また、銀行融資には「プロパー融資」、「信用保証付き融資」の2種類があります。
「プロパー融資」は銀行の判断で行う融資で、信用保証協会の保証を受けずに銀行と事業主が直接取引を行います。
一方「信用保証付き融資」は、企業の返済を公的機関である信用保証協会が保証する融資です。
2.信用金庫
信用金庫は、地域の中小企業や住民を会員とする協同組織の金融機関です。
銀行は株式会社で、信用金庫は非営利法人であるという違いがあります。
信用金庫のメリットは、銀行よりも融資審査が緩い点です。
一方で、銀行と比べて金利が高く、融資限度額も低い傾向にあるというデメリットがあります。
3.日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、国が株式の100%を常時保有している政策金融機関です。
「一般の金融機関が行う金融を補完すること」を旨とし運営されています。
国が100%出資していることから、商品によっては無担保・無利息での融資が可能であり、そうでなくても金利が低めなのがメリットです。
ただその反面、申請書類の準備に手間がかかることから、迅速な資金調達には向いていないというデメリットがあります。
4.ノンバンク
ノンバンクは、預金を扱わずに貸し付けだけを行う消費者金融やビジネスローンなどのことです。
手続きが簡単で、即日融資などスピーディーに資金調達できるメリットがあります。
しかしデメリットとして金利が非常に高いため、高額の借入や長期的な借入には向きません。
あくまでも急ぎで少額が必要な時の選択肢であると言えるでしょう。
5.自治体の融資制度
運転資金の借入には、自治体の融資制度を利用するという手もあります。
地方自治体(都道府県、区市町村)には、低金利で融資を受けやすくするための融資制度があるところも多いです。
メリットとしては、きちんとした事業であれば審査も前向きで、金利も低く、安定して長期の借入をすることができます。
デメリットは、銀行・信用保証協会に加えて自治体も絡んでくるため、融資実行までに時間がかかる点です。
運転資金借入理由の伝え方

運転資金の融資を受ける場合、借入理由の伝え方が非常に重要です。
借入理由の伝え方によって、審査に通るかどうかが大きく変わってきます。
借入理由を伝える際は「運転資金とは?」で挙げた5種類の運転資金のどれに該当するかを明確にしたうえで、融資を受けることでどのように事業が上手く回り、借入金を返済できるようになるのかを含めた事業計画を伝えましょう。
ただ実際に融資を受けようと思うと、事業計画書の作成などは簡単ではありません。
そのため本当に運転資金の融資が必要なら、融資の成功率を上げるためにも税理士などのプロに相談するのがおすすめです。
ちなみに私たち池上会計も、企業の資金調達については多くの実績があります。
もしどうしても資金調達を成功させたいなら、ぜひ1度私たち池上会計にご相談ください。
運転資金の融資を受けやすくなるポイント

運転資金の融資を受けやすくなるポイントとしては、下記が挙げられます。
- 事業計画書の整合性を確認する
- 提出書類の不備をなくす
- 返済期間をできるだけ短期間にする
- 借入額は必要な金額にする
まず、事業計画書の整合性を確認しましょう。
事業計画書は融資を受けるうえで非常に重要視されるものです。
だからこそ内容に整合性がなければ、審査通過はできません。
あとはもちろん、提出書類の不備がないように確認しておくことも重要です。
本人確認書類や収入証明書など、審査を受ける金融機関毎に必要な書類を事前にチェックしておき、抜けがないようにしましょう。
次に、返済期間を長期にし過ぎないことも、融資が受けやすくなるポイントの1つです。
また当然ながら借入額が多ければ多いほど審査は厳しくなるため、本当に必要な金額を大幅に超えないようにしてください。
運転資金の融資を受ける際の注意点

運転資金の融資を受ける際は、下記の点に注意してください。
- 現実的な返済計画を立てておく
- 利息や手数料を把握しておく
- 無計画な過剰借入は控える
運転資金の融資を受ける時は、現実的な返済計画を立てておくことが重要です。
返済が滞ると信用情報に影響が出てしまい、今後の会社運営に大きなマイナスを受けてしまいます。
また、利息や手数料を事前に計算し、把握しておくことも重要です。
利息や手数料を甘く見ていると、経営を圧迫してしまいかねません。
利息や手数料は会社にとってのコストであることを理解して、詳細を把握しておきましょう。
また、無計画な過剰借入もNGです。
勝算がある場合はもちろん攻めの融資を受けることも重要ですが、無計画に大きな金額を長期間で借りてしまうと、その分利息や手数料も大きくなってしまいます。
とくに金利が高額な借入については、必要最低限の借入にしておくべきでしょう。
運転資金の融資は計画的に

運転資金の融資を受けるなら、とにかく計画性が非常に重要です。
無計画に借入をしてしまうと返済が滞ってしまう可能性がありますし、そもそも事業計画がしっかり練れていなければ融資の審査に通過できません。
とはいえ、事業計画書の作成は正直難しく、苦手としている経営者も多いです。
私たち池上会計は今までに2,000社以上の財務関わり、多くの資金調達をお手伝いしてきました。
その経験から実際に、事業計画書を問題なく作成できる経営者は非常に少ない印象を受けています。
というのも経営者はあくまでも経営のプロであって財務のプロではないため、財務の知識に基づいて事業計画書を作成すること自体に慣れていないからです。
実際、それが原因で融資を断られてしまうケースも少なくありません。
だからこそ確実に融資を受けたいと考えているなら、まずはプロに相談することを強くおすすめします。
池上会計では現在、初回相談は無料とさせていただいています。
中小企業の資金調達を成功させた実績も多数あります。
もし運転資金の融資を受けようと考えているなら、ぜひ1度私たちにご相談ください。
【まとめ】運転資金の融資を受けて事業を拡大しよう
今回は「運転資金の融資」について解説をしてきました。
融資を受けることは、会社を大きくしていくうえで非常に重要です。
融資を受けずに事業を拡大しようとすれば、スピードがかなり遅くなってしまいますし、何より拡大そのものが困難になってしまいます。
だからこそ攻める時は攻めの融資を受けることが、事業を拡大するうえでは必要不可欠です。
日本人はお金を借りることに抵抗を覚える方も多いですが、しっかりと計画性を持って融資を受ければ怖いことはありません。
今あなたの会社が成長段階にあるなら、攻めの融資を受けることもぜひ検討してみてください。
もし不安があるようなら、財務に関するご相談を初回無料で承っています。
融資を受けるべきタイミングかどうか、ぜひ1度私たちにご相談ください。