今回は「コスト削減」について解説していきます。
コストについて考え、向き合うことは、ビジネスをしているなら避けては通れない道です。
売上が大きくてもコストがかかり過ぎていては利益が残らず、経営も不健全になってしまいます。
それこそ売上の大きな大企業が、高いコストのせいで時流の変化に耐えきれず、一気に倒産に追いやられてしまうこともあるのです。
そこで今回はコスト削減について、「コストの種類」や「削減アイディア」、「コスト削減の事例」などを解説していきます。
ぜひ参考にして、あなたの事業にかかっている無駄なコストを削減してください。
目次
コスト削減の必要性とは?

冒頭でもお話したとおり、事業を営んでいるならコスト削減について考えることは必須だといえます。
なぜなら、営業利益は売上とコストによって成り立っているからです。
簡単にいえば、利益を大きくしたいなら、「売上を大きくするか」もしくは「コストを削減するか」が必要になるということですね。
もちろん、売上を伸ばす方にフォーカスするのも良いですが、やはり限度はありますし、利益率が低いまま売上だけを拡大すると赤字転落のリスクも大きくなってしまいます。
たとえば「100万円を売り上げるのに原価、販管費などで90万円のコストが必要な商売」と「20万円を売り上げるのに10万円のコストが必要な商売」を見比べると、同じ10万円の利益でも明らかに前者の方がリスクは高いです。
また後者の方がより少ない費用で利益をあげることができるので、事業の拡大もしやすいといえます。(もちろん、ほかにも色々な要因は絡みますが)
だからこそ売上を伸ばすのと同時に、いかにコストを削減して利益率を上げるか、という視点が必要になるわけです。
企業にかかるコストの種類

では、実際に事業を営むうえでどのようなコストがかかっているのか、その種類を見ていきましょう。
- 人件費、採用関連費
- 外注費
- 賃料
- 設備費、設備投資費
- 広告宣伝費
- 通信費
- 研究開発費
- 運送費
- その他経費
これらにかかっている経費を見直せば、コストを削減できる可能性が高いです。
それでは、それぞれについて詳しく説明していきます。
人件費、採用関連費
従業員を雇う場合、人件費や採用関連費は無視できない大きなコストとなります。
- 給与、賞与
- 社会保険料
- 福利厚生費
- 退職金
- 役員報酬
- 採用関連費
内訳としては、主にこれらのコストが挙げられますね。
人件費は大きくなりやすいので、見直しをすることで大幅なコスト削減をできる可能性があります。
ただし、安易に給与や賞与をカットしたり、人員を減らしたりしてしまうと、従業員のモチベーション低下やサービスの質の低下、トラブルが起こる可能性あるため注意が必要です。
外注費
仕事のやり方によっては、外注費も大きなコストになり得ます。
同じ外注に惰性で仕事を出し続けるのではなく、定期的に外注の必要性や収益性をチェックすることで、コストを削減できる可能性があります。
ただ、コストを削減しようとするあまり必要な外注を切って、会社の収益性が下がったり、社長の仕事が増えたりしてしまっては本末転倒なので注意してください。
賃料
お店や事務所を構えているなら、賃料も無視できないコストです。
不必要に高い賃料を支払っている場合は、安い物件への移動も考慮してみてください。
業務内容によっては、リモートワークを推奨するもの1つの手です。
設備費、設備投資費
設備費、設備投資費も大きなコストになりがちです。
主に「土地」、「建物」、「機械」、「備品」、「車両」、「ソフトウェア」などが挙げられます。
1つ1つが大きなコストになりやすいため、設備投資をする際はコストパフォーマンをしっかりと精査しましょう。
広告宣伝費
広告宣伝費というコストも考えなければいけません。
主に「テレビCM」、「インターネット広告」、「チラシ」、「パンフレット」、「ポスター」、「ノベルティ」、「サンプル品」などの制作費や掲載費などが挙げられます。
とくに今の時代、Web広告を集客の柱にしている企業も多いでしょう。
だからこそ、それぞれの広告宣伝費についてしっかりと効果を計測し、継続的に改善のPDCAを回していく必要があります。
通信費
「電話料金」、「インターネット利用料」、「携帯電話料金」、「FAX料金」などの通信費も1つのコストです。
会社の規模や業種によってどれくらいの金額になるかは変わってきますが、コストとして大きい場合は、無駄に高いプランに入っていないかチェックしてみると良いでしょう。
研究開発費
研究開発費は、新製品や新技術を開発するためにかけるコストです。
たとえば「人件費」、「原材料費」、「設備費」などが挙げられます。
研究開発費は長期的な視点で成果を生み出すコストであるため、安易な削減は極力避けるべき項目です。
運送費
燃料が高騰している現代において、運送費(物流コスト)も無視できない項目です。
コスト削減を検討する場合は在庫管理の最適化や人件費の見直し、外注化などを検討することになります。
ただ燃料の価格変動などもあることから、実はコスト削減が難しい項目の1つです。
その他経費
ここまでに挙げたコスト以外にも、意外なところで大きな経費を使っている可能性があります。
そのためコスト削減を実現したいなら、どこに無駄があるかを見抜くために会社全体の財務を把握しておかなければいけません。
財務については、税理士や財務コンサルといったプロを頼ることをおすすめします。
なぜなら財務に詳しくない人間の場合、無駄なコストや削ってはいけないコストを判断できない可能性があるからです。
財務については、私たち池上会計にお任せください。
今まで2,000社以上の財務に携わり、積極的な攻めの提案によって事業成長に貢献してきました。
もし「財務について詳しい人間が社内にいない」、「顧問税理士がいるけど財務まではアドバイスをくれない・提案が少ない」という場合は、ぜひ1度池上会計にご相談ください。
コスト削減の方法(アイディア)

ここからは、具体的なコスト削減の方法(アイディア)をいくつかご紹介していきます。
- リモートの導入
- 外部委託の検討(外注化)
- 業務の仕組み化
- 広告費の継続的な見直し
- 従業員の定着率を高める
コスト削減の方法は無数にあるためこれらはほんの一部になりますが、気になるものがあればぜひあなたの会社でも参考にしてみてください。
コスト削減の方法1.「リモートの導入」
リモート(テレワーク)を導入することで、コスト削減に繋がります。
事務所を縮小できれば賃料や電気代を削減できますし、遠方から来ている従業員が多いなら、交通費の削減も可能です。
また、採用の際の地域も全国に広げることができるため、より良い人材を得られる可能性もあります。
コスト削減の方法2.「外部委託の検討(外注化)」
業務を外注化することで、人件費の削減に繋がります。
適切な価格で外部委託すれば、従業員を1人雇うより低いコストで業務を遂行できるからです。
それこそ今は、ほとんどの業務を外注で回す企業も少なくありません。
人を1人雇うということは大変なことで、それが正社員ともなればなおさらです。
それなら即戦力が期待できて採用するよりリスクが低い外注を活用するのも1つの手でしょう。
コスト削減の方法3.「業務の仕組み化」
今ある業務を見直し、仕組み化することでコスト削減に繋げることができます。
仕組み化によって工数を削減できれば、その分人件費を減らしたり、より効率的に業務を回せたりするようになるからです。
またその仕組みをマニュアル化すれば、新人を育てる際の工数削減にも繋がります。
このように、コスト削減を考えるなら「どうすれば工数を減らせるか」という視点で考えてみると良いでしょう。
コスト削減の方法4.「広告費の継続的な見直し」
集客に広告を活用しているなら、広告費については継続的に見直し、改善をはかるようにしましょう。
今のままでも十分利益が出ているという場合でも、効果を集計し、改善を検討することで、よりコストを下げられるかもしれません。
そもそも改善をしなければ、1つ商品を売るための広告費はどんどん上がっていくケースの方が多いです。
広告を活用するなら、よりコストを下げられるように常にPDCAを回しましょう。
コスト削減の方法5.「従業員の定着率を高める」
従業員の定着率を高める施策も、コスト削減に繋がります。
従業員が定着してくれれば、新しい人員を獲得するための採用関連費や仕事を教えるための工数を抑えられるからです。
さらに経験値の高い従業員が残ってくれれば、その分1人が生み出す売上も上がるはずです。
それこそ場合によっては、従業員の給与を上げることが定着率の向上に繋がり、全体でみればコスト削減になっていたというケースもあるでしょう。
コスト削減の事例

ここからはコスト削減を実現した事例を紹介していきます。
- ソフトバンクの事例(デジタルツールの導入)
- ClipLine株式会社の事例(在宅勤務制の導入)
それぞれ詳細を解説していきます。
ソフトバンクの事例(デジタルツールの導入)
ソフトバンクはデジタルツールを導入することで業務効率化をし、241億円のコスト削減を実現しました。
たとえばやったのは、「電子押印の導入」、「データ入力作業の効率化」、「契約に関わる事務の自動化」などです。
このようにデジタルツールによって仕組み化し、今まで無駄にかかっていた工数を大幅に減らすことで、大きなコスト削減に成功しました。
ClipLine株式会社の事例(在宅勤務制の導入)
ClipLine株式会社は、在宅勤務の導入によってコスト削減を実現しました。
もともと月額500万円程度のオフィスを借りている状況でしたが、コロナ渦を機に全社員を在宅勤務制に移行させたのです。
結果、月額500万円もかかっていたオフィスが不要になったため、オフィスを縮小し、賃料を大幅にカットできたわけですね。
こちらは、情勢に合わせた施策によって大幅にコストを削減した事例と言えるでしょう。
コスト削減には財務の把握が必要不可欠

コスト削減について考えるなら、会社の財務を把握しておくことは必要不可欠です。
財務を把握できないと、「どこに無駄があって」、「どこを削減できるか」がわかりません。
もし現状、会社に財務の有識者がいないなら、税理士や財務コンサルタントといった財務のプロを頼るのがおすすめです。
プロを頼ることで財務を正確に把握できるようになり、さらにコスト削減の提案を受けることもできます。
財務の把握ができていない、財務のプロと言われてもピンと来ない、という場合は、ぜひ1度池上会計にご相談ください。
池上会計は財務に強い会計事務所(税理士)です。
今までに2,000社の財務に携わり、事業成長の後押しをしてきました。
税理士の中には、税務だけが中心で財務についてほとんど提案しない方も多いですが、私たちは財務について積極的なご提案をさせていただきます。
コスト削減はもちろん、資金調達などについても、お力になれる部分は多いです。
詳細は下記でご説明していますので、ぜひご確認ください。
【まとめ】財務状況を把握してコスト削減を実現しよう
今回はコスト削減について解説をしてきました。
会社の経営を健全化したい、会社を成長させたい、と考えているなら、コスト削減といった視点は必要不可欠です。
とくに今はAIによってデジタルツールの進化も著しいため、コスト削減できる余地も大きいでしょう。
うちの会社には無駄なコストなんてない、と考えていても、財務を確認すれば色々と無駄が見つかるものです。
ぜひ1度会社の財務状況を見直して、コスト削減できるところがないか確認してみてください。