今回は2,000社以上の企業をみてきた税理士目線で「会社を大きくするにはどうすれば良いか?」を解説していきます。
経営者なら、自分の会社を年商1億、10億、100億……と大きくしていきたいと考えている人も多いのではないでしょうか?
今まで税理士として多くの企業、経営者と関わらせていただいてわかったことですが、会社を大きくするには、必要な場面で「攻めの経営」ができるかどうか、そして「計画性」が非常に重要です。
そこで今回は税理士目線で「会社を大きくする手段やポイント」、「会社を大きくするメリット・デメリット」、「会社を大きくするのに使える補助金・助成金」などについて解説していきます。
会社を大きくしたいと考えているなら、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
目次
会社を大きくするには?

まず、「会社を大きくするにはどうすれば良いのか?」という点から解説していきます。
- 会社を大きくする2つの手段
- 会社を大きくするためのステップ
- 会社を大きくするポイント
この順でお話ししていきましょう。
会社を大きくする2つの手段
会社を大きくする手段は大枠で2つあります。
- 事業を成長させる
- M&Aを利用する
まず1つが、既存事業の売上を拡大させる方法です。
売上を上げ、人員を増やし、さらに売上を上げて、というかたちでどんどん事業を拡大していく王道の流れですね。
中小企業の経営者であれば、会社を大きくするといえばこちらのイメージが強いのではないでしょうか。
そしてもう1つが、M&Aで会社を大きくしていく方法です。
こちらは既存の企業と合併・買収をすることで、会社を大きくしていきます。
会社を大きくするステップ
会社を大きくするためのステップとして重要なのは、PDCA(プラン・ドゥ・チェック・アクション)を回すことに尽きるでしょう。
PDCAとは、目標を達成するためのフレームワークです。
下記の手順を「1 → 2 → 3 → 4 → 1 → 2 →……」とどんどん回していきます。
- P……目標を達成するための計画を立てる
- D……計画を実行する
- C……実行した結果を検証する
- A……検証した結果を評価し、計画を見直す
会社を大きくするために重要なのは、「計画」を具体的に数字で設定することです。
たとえば「〇年までに売上を〇億円にする」や「〇年までに〇店舗を目指す」といった感じですね。
そしてその数字を達成するために計画を立て、実行し、検証、改善、計画……と繰り返していくわけです。
このPDCAサイクルを何回も繰り返し回していくことで、会社は大きくなっていきます。
会社を大きくするポイント
会社を大きくするには、下記のようなポイントに着目すると良いです。
- 無駄な仕事、コストを省く
- 雇用、外注化を検討する
- 必要な時は攻める
まず無駄な仕事、コストは省くことが重要です。
とくに社長が手一杯で、事業を成長させるための仕事に手が出せない状況だと、会社を大きくできません。
だからこそ社長自身の仕事を整理し、生産性の高いものに集中することが重要なんです。
またそのための方法として、雇用や外注化といった手段が考えられます。
人に任せられる仕事については、積極的に任せられる仕組みを作ることが大切です。
あとは多くの企業をみてきた経験から、攻めるべき時には攻めるというのも重要だと考えています。
具体的には、「融資を受けて資金調達をすることでチャンスを活かす」といった経営判断などですね。
会社を大きくするためには、これらのポイントについても考えてみてください。
会社を大きくする5つのメリット

会社を大きくすることには、下記のようなメリットがあります。
- 売上、利益が増加する
- 社長や社員の収入を増やせる
- できる仕事が増える
- 雇用しやすくなる
- リスク分散ができる
このようなメリットがあるからこそ、経営者たちは会社を大きくしたいと思うわけですね。
それでは1つずつ解説していきましょう。
メリット1.「売上、利益が増加する」
会社が大きくなれば、その分売上や利益は増加する可能性が高いです。
売上、利益が上がればできることも増えますし、会社の価値も高まります。
ただし、会社を大きくすることに執着するあまり「売上は上がったけど利益は上がっていない」というケースも考えられるので、そのあたりはしっかりと計画的に進めるべきでしょう。
とくにキャッシュフローは常に把握するようにしてください。
メリット2.「社長や社員の収入を増やせる」
会社が大きくなり、利益も大きくなれば、社長や社員の給料を増やすこともできます。
社長目線で簡単に言えば、お金持ちになれるということですね。
さらに社員が充実してくれば社長が手を動かす必要性も減らせるようになるため、時間当たりの収入についてはかなり大きな上げ幅になるケースも十分あります。
メリット3.「できる仕事が増える」
会社が大きくなればできる仕事も増えます。
資金力やマンパワーが上がりますし、会社としての信用度が上がることでより大きな企業からも仕事を請けやすくなるからです。
できる仕事が増えればおのずと取引先も増え、人脈や販路の拡大にもつながるため、より会社を大きくするチャンスを得やすくなります。
メリット4.「雇用しやすくなる」
会社が大きくなれば雇用がしやすくなるといったメリットもあります。
「資金力が上がる」、「会社の信用度が上がる」、「会社の知名度が上がる」というのがその理由です。
雇用創出が上手く回りだすと良い人材を雇いやすくなり、できる仕事の幅も増えることから、さらに会社が大きくなる良いサイクルが回り始めます。
メリット5.「リスク分散ができる」
会社を大きくすることはリスク分散にもつながります。
たとえば販路を新しく開拓すれば、既存の販路が潰れたとしても生き残ることが可能です。
もしくは会社を大きくして新しい事業を軌道に乗せれば、既存の事業が衰退しても売上を確保できます。
集客によく使われるSNSなどのプラットフォームは流行りと衰退を繰り返すものですし、AIの登場で衰退する事業も今後多く出てくることが予想されます。
このような状況で、リスク分散ができることは非常に大きなメリットであると言えるでしょう。
会社を大きくする2つのデメリット(リスク)

ここまで解説したとおり、会社を大きくすることにはたくさんのメリットがありますが、同時に下記のようなデメリット(リスク)もあるので注意が必要です。
- 経費が増加して資金繰りが難しくなる
- 社員マネジメントの難易度が上がる
リスクのことを考えれば、計画性のない安易な事業拡大はむしろ危険です。
場合によっては会社を倒産に追い込むことにもなり兼ねません。
そうならないために、デメリットについてもしっかり理解しておきましょう。
デメリット1.「経費が増加して資金繰りが難しくなる」
会社を大きくするための先行投資や固定費などで経費が増加する点はデメリットです。
経費の増加は、資金繰りの難易度を上げることにもつながります。
とくに急激な事業拡大は資金繰り悪化による黒字倒産のリスクも高まってしまうため、慎重に検討しながら進めるべきでしょう。
デメリット2.「社員マネジメントの難易度が上がる」
組織が大きくなると、社員マネジメントも難しくなります。
会社が小さく、社員が少ない状態であれば、比較的容易に社員管理は可能です。
社長の考えを社員に浸透させることも難しくはないでしょう。
しかし社員が増えてくると、細部まで目が届かなくなり、社員管理が難しくなります。
さらに会社を急激に拡大させるために雇用を一気に増やそうとすると、社員の質の低下を招きかねません。
そのため会社を大きくするなら、社員が増えても会社が上手く回るような仕組みづくりが必要であると言えます。
会社を大きくするのに使える補助金・助成金

会社を大きくする際に使える代表的な補助金・助成金には以下のようなものがあります。
- ものづくり補助金
- キャリアアップ助成金
解説していくので、要件を満たすようなら検討してみてください。
ものづくり補助金
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス革新補助金)は、中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施し、全国中小企業団体中央会が管理・運営している補助金です。
「生産性向上につながる革新的な新製品・新サービス開発」や「海外需要開拓」を行う事業のために必要な設備投資などの経費を一部補助し、中小企業者などの生産性向上を促進して経済活性化を実現することを目的とします。
そのため、事業を拡大するときに使いやすい補助金です。
条件にもよりますが、採択されれば数百万~数千万の補助を受けることができます。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は厚生労働省が実施している助成金です。
有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成されます。
会社を大きくするにあたり、人を育てたい、人員を増やしたい、といった時に使いやすい助成金ですね。
雇用に力を入れていこうと考えているなら検討してみてください。
会社を大きくするためにやってはいけないこと

会社を大きくするうえで絶対にやってはいけないのが、計画性のない事業拡大です。
先にもお話したとおり、計画性のない事業拡大は資金繰りの悪化を招き、経営破綻につながりかねません。
実際、一時的な流行に乗って多店舗展開をしたものの、ブームが終わって一気に倒産ラッシュになってしまった事業も多いです。(タピオカ、白いたい焼き、高級食パンなど)
事業を拡大するなら、しっかりとした計画性が必要不可欠となります。
現状を楽観視し、「調子がいいからなんとなくいけるだろう」と事業拡大に手を出してしまうことは、非常にハイリスクだと理解しておきましょう。
会社を大きくするには財務の理解が必要不可欠

会社を大きくするには計画性が重要だというお話をしましたが、そのために必要不可欠なのが財務の理解です。
会社の財務状況がどうなっているか理解していないと、そもそもの計画を立てることができません。
しかし、経営者のなかには「財務は経理担当や税理士、商工会に任せきりでよくわからない」という方も多いのが現状です。
実際、会社を大きくする段階においては、社長は本業や営業にこそ力を入れなければいけない状況なので、財務までしっかり理解・把握するのは難しいというケースも多いでしょう。
ただ、だからといってただ数字を管理するだけの経理、税理士、商工会に財務を任せてしまっていると、財務状況に基づく提案なども受けられないため、チャンスを逃してしまったり、リスクに気づけなかったりします。
その点、私たち池上会計は、ただ数字を管理するだけではなく、お客様の会社の財務に責任を持って関わる会計事務所です。
数字の管理を徹底するのは当たり前。私たちはそれだけではなく、お客様の会社がより成長できるよう、積極的にご提案をさせていただきます。
- 会社を大きくするためにしっかりと財務を把握したい
- 会社を大きくするための積極的な提案がほしい
- 今の税理士が税務処理や数字管理だけでほとんど提案してくれない
このようなお悩みがあれば、ぜひ1度池上会計にご連絡ください。
初回相談は無料で承っています。
会社を大きくした事例

ここからは会社を大きくした成功事例と失敗事例をご紹介していきます。
- 成功事例「富士フィルム」
- 失敗事例「ナポリス」
1つずつ解説するので、参考にしてみてください。
会社を大きくした成功事例.「富士フィルム」
事業拡大の成功事例として有名なのが「富士フィルム」の事例です。
富士フィルムはもともとカメラのフィルムを製造する企業でした。
デジタルカメラの普及によってフィルムの売上が減少したことを受け、富士フィルムが目を付けたのが化粧品・医薬品事業です。
実はフィルムを製造する際の技術は、医薬品などにも活用できるものでした。
このように自社がすでに持っている強みを上手く活用することで事業を拡大させ、既存事業の衰退を乗り越えることができたわけですね。
この「すでに持っている強みをほかに活かす」という視点は、会社を大きくするうえで大切なものだと言えるでしょう。
会社を大きくした失敗事例.「ナポリス」
「ナポリス」はワンコインでピザが食べられるを売りに広まったレストランでしたが、事業拡大に失敗して経営破綻を起こしてしまいました。
当時勢いに乗っていたナポリスは、フランチャイズで100店舗を目指すという目標を掲げ、急速な店舗拡大を押し進めていました。
フランチャイズといえど新店舗を出店する際には、本部から社員を送って店舗運営の教育を行う必要があります。
しかしあまりに急激な事業拡大を進めたことで人員が不足し、サービスの質が大きく低下してしまったのです。
その結果、ナポリスは深刻な客離れを起こしてしまい、経営破綻してしまいました。
会社を大きくするためにはチャンスに乗ることも重要ですが、その土台にはしっかりとした計画性が必要だという事例ですね。
【まとめ】会社を大きくするには「攻めの経営」と「計画性」が重要
今回は「会社を大きくするにはどうすれば良いか」というテーマでお話しさせていただきました。
会社を大きくするうえで重要なのは「攻めの経営」と「計画性」です。
攻めるべきときに攻める判断ができるからこそ、会社は大きくなっていくことができます。
しかし、計画性のない事業拡大は資金繰りの悪化を引き起こし、(黒字)倒産を招きかねません。
計画を立てるために必要なのが、自社の財務をしっかり把握・理解することです。
財務を把握しているからこそ、経営者は攻め時、引くべき時の正しい判断ができます。
私たち池上会計はお客様の会社の財務に責任を持って関わる会計事務所です。
ただ数字を管理するだけでなく、積極的な提案をすることで、会社がより成長できるように尽力します。
もし今、財務の把握・理解に不安や不満があるなら、ぜひ1度池上会計にご相談ください。
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