今回は「税務調査が入るとどうなるのか?」について、現役の税理士が解説していきます。
税金に関連することで1番恐れられていると言っても過言ではないのが「税務調査」です。
「節税対策をしているけど、これ本当に大丈夫かな?」
「税務調査に入られたらどう対応すればいいのだろう?」
「税務調査がきっかけで最悪逮捕されることってあり得るのだろうか?」
などなど、いつか来るかもしれない税務調査にちょっとした恐怖感を抱いている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は税務調査について、調査の流れや逮捕の可能性、対策などについて解説をしていきます。
税務調査が怖いな、不安だな、と感じているなら、ぜひ参考にしてみてください。
税務調査の種類

まず前提条件として、税務調査は大きく分けて2種類あります。
- 強制調査
- 任意調査
強制調査は、税法違反の疑いがある場合に、裁判所から発行された許可状に基づいて事前告知なしで強制的に行われる税務調査です。
こちらの強制調査が実施されることは稀で、強い悪質性があった場合に行われます。
一般的に行われる税務調査は、任意調査の方です。
こちらは任意の名のとおり、納税者の同意・協力のもとで実施されます。
任意調査だからといって調査自体を拒否することはほぼ不可能に近いですが、それでも明らかに悪質な脱税を疑って行われる強制調査とは別物です。
明らかに悪いことをしているというわけでなければ、一般的には「税務調査 = 任意調査」という認識なので、本記事でもこちらの認識で解説を進めさせていただきます。
税務調査が入るとどうなる?

税務調査が入った場合は、基本的には調査官の指示に従って調査に協力することになります。
ただ、詳しい税務調査の流れについては後述しますが、税務調査が入ってどうなるかという点においてはケースバイケースです。
たとえば、調査の日数について1日で済むケースもあれば、3日以上かかるケースもあります。
また調査結果によって、追徴課税を課せられるケースもあれば、とくに修正申告をしなくて良いケースもあります。
調査前の連絡についても、基本的には事前告知が入りますが、現金商売の場合は突然やってきてヒアリングや現物の確認が行われるケースもあります。
さらに言えば、税務調査に立ち会ってくれる税理士の知識や経験によっても結果は大きく変わってくるでしょう。
このように税務調査が入ってどうなるかは、それぞれのケースによって結果が変わってきます。
税務調査が入ると社内や自宅を勝手に家探しされる?
任意調査の場合、国税調査官が勝手に社内や家の中を漁ることはありません。
任意調査はあくまでも納税者の協力のもと行われるものなので、通帳の保管場所やPCのチェックをする場合も、原則納税者の許可のもと行われます。
まるでニュースで見る家宅捜索(ガサ入れ)のようなことをされるのかと不安に感じているなら、その点は安心してください。
ただその分、税務調査中は調査官の対応に追われることになるので、普段通りに仕事をするのは難しいです。
脱税で逮捕される可能性はある?
脱税で逮捕される可能性はゼロではありませんが、よほど悪質な脱税をしていない限り逮捕まで至る可能性は低いです。
逮捕の対象になり得るのは、裁判所からの令状を持って行われる強制調査です。
任意調査であれば、基本的には逮捕に至る可能性はほぼありません。
ただし、任意調査であっても悪質性が高いと判断された場合は、強制調査に切り替えられるケースもあり得ます。
脱税で逮捕される可能性は高くはありませんが、ゼロではないという認識は持っておきましょう。
税務調査(任意調査)の流れ

税務調査(任意調査)が来た場合、基本的には以下のような流れで動いていきます。
- 事前通知が来る(現金商売の場合は通知がない場合もあり)
- 税務調査の日程を決める(当日までに必要な書類などを揃えておく)
- 当日の調査に立ち会う(調査官の質問に応答する)
- 税務署による調査が行われる
- 税務調査の結果が出る
- 必要に応じて修正申告、追徴課税の納税を行う
税務調査当日は、帳簿や領収書などの確認、経費・売上などに関する質問、追加書類の提出依頼、などが行われます。
とくに大きな問題がなければ、個人で1日、法人で2日~3日程度かかるのが一般的です。
調査当日は極力税理士に立ち会ってもらい、税理士の指示に従って余計なことは言わないようにしましょう。
税務調査の対策

ここからは下記2つの視点から、税務調査の対応について解説していきます。
- 税務調査が来ないようにする対策
- 税務調査が来た時のための対策
この2つの視点でしっかり対策をしておけば、税務調査を恐れる気持ちも幾分やわらぐはずです。
それではそれぞれ解説していきましょう。
税務調査が来ないようにする対策
税務調査が来る確率を下げるためには、下記のような対策が効果的です。
- 税理士と契約する
- 正確な記帳、確定申告を心がける
- 無理な節税(もしくは脱税)をしない
基本的には税理士と顧問契約を結び、税理士に正しい記帳・申告をしてもらうのがおすすめです。
個人で確定申告をやる場合と税理士が確定申告をする場合では、当然個人の方が間違いは起こりやすくなります。
税務署視点で考えると、その分追徴課税を取りやすくなるため、税理士を通していない確定申告はそれだけで税務調査の対象になる可能性が上がってしまうのです。
あとは税務署に目を付けられるような無理な節税や脱税はしないようにしましょう。
これらの対策をすれば、税務調査の確率は下げられます。
とはいえもちろん、いくら対策をしても来る時は来るのが税務調査です。
ただ、税務調査は不正が疑われるところ、目立つところほど狙われやすいのも確かなので、普段から対策を心がけ、できるだけ税務調査に入られる確率を下げておきましょう。
ちなみに税務調査が来る確率については、こちらの記事で詳しく解説しています。
⇒ 税務調査が入る確率を個人・法人別に解説!入られやすい職種や特徴は?
税務調査が来た時のための対策
いざ税務調査が来てしまった時の対策としては、以下が挙げられます。
- 調査日を対策する余裕がある日程に調整する
- 税理士に相談する
- 必要書類を不足なく揃える(すぐ取り出せるように整理する)
たとえ任意調査でも、税務調査を拒否することは原則不可能ですが、日程を調整することはできます。
なので税務調査の事前告知が来たら、余裕のある日程を指定し、顧問税理士に連絡するか、顧問税理士がいない場合はスポットで入ってくれる税理士を探すと良いでしょう。
また、そのあいだに必要書類についても準備するようにしてください。
ちなみに、用意しておいた方が良い書類は以下のとおりです。
- 法人税申告書(個人事業主は所得税の申告書)
- 決算書
- 登記簿謄本
- 総勘定元帳(帳簿)
- 売掛、買掛帳
- 現金出納帳
- 固定資産台帳
- 預金通帳
- 棚卸明細表
- 源泉徴収簿
- 給与台帳
- 領収書の控え
- 納品書
- 請求書
- 契約書
- 稟議書
- 議事録
税務調査当日に求められたらすぐ提出できように、これらの書類を準備・整理しておきましょう。
池上会計は理不尽な修正申告には屈しません

私たち池上会計は、今まで2,000社以上に関わってきた、税務調査に強い会計事務所(税理士)です。
調査官の言いなりにはならず、理不尽なことがあればしっかりと指摘し、交渉します。
正直なところ、税理士にはことなかれ主義で調査官の言いなりになってしまう方も多いです。
その点、私たち池上会計は、こちらに正当性があることについてはしっかりと主張し、不必要な追徴課税を課せられないように全力で対応いたします。
また私たちの強みの1つにクイックレスポンスがあります。
税務調査の連絡が来た時、税理士に連絡してもなかなか返事が返って来ないと不安になりますよね?
だからこそ私たちはお客様に不安を抱かせないように、できるだけ早くお返事することを徹底しています。
もし「今の顧問税理士が頼りなくて税務調査が不安」、「まだ税理士と契約を結んでいない」という場合は、ぜひ池上会計にご連絡ください。
【まとめ】税務調査が来ても落ち着いて対処を
今回は「税務調査が入るとどうなるのか?」について解説をしてきました。
税務調査にはあるていどの流れがあるものの、入られた結果どうなるかはケースバイケースです。
税務調査は、今までの税務、業種、税理士の能力、調査官の性格など、さまざまな要素に左右されます。
ただ、一般的な税務調査は任意調査となるため、社内や自宅を無断で漁られたり、逮捕されてしまったりという心配は基本ありません。
「税務調査」と身構えてしまうものですが、しっかりと対策をしておけば、実際はそこまで怖いものでもないのです。
だからこそ税務調査については日ごろから対策をしつつ、いざ入られた時には落ち着いて対処するようにしましょう。