今回は「税務調査が来る時期やタイミング」について解説していきます。
税務調査がいつ来るのか不安に思っている方も多いのではないでしょうか?
実は税務調査は、来る時期やタイミングに意味があります。
たとえばこの時期に来られると強く脱税を疑われている……ということもあるのです。
そこで今回は税務調査が来る時期やタイミングを、個人事業主・法人別に解説していきます。
税務調査に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
税務調査とは?

税務調査とは、個人および法人が税法に則って収入・所得・納税額を正しく申告しているかチェックする手続きです。
国税庁および税務署によって行われるもので、「任意調査」と「強制調査」の2種類があります。
「任意調査」は、納税者の同意・協力のもとで実施される税務調査です。
一方、「強制調査」は税法違反の疑いがある場合の税務調査で、裁判所から発行された許可状に基づいて事前告知なしで強制的に行われます。
よほどの脱税をしている場合は別ですが、基本的に多くの方にとって「税務調査 = 任意調査」だと考えても良いでしょう。
税務調査が来やすい時期

基本的に税務調査は、7月~11月が1番多いと言われています。
なぜかというと、税務調査官の定期人事異動が7月10日に行われるためです。
この人事異動後から税務署の繁忙期に当たる年末年始、確定申告の時期までに、税務調査が増える傾向にあります。
そして逆に、人事異動前の6月、繁忙期である年末年始~3月までの間は税務調査が来にくいのが基本です。
ただそれも踏まえたうえで、税務調査が来やすい時期は、個人・法人によって変わってきます。
ここからは個人・法人別に税務調査が来やすい時期を解説していきましょう。
個人に税務調査が来やすい時期
個人の場合、税務調査が来やすいのは7月~11月です。
中でも7月~8月にとくに多いと言われています。
なぜこの時期に多いかというと、先に挙げた人事異動や繁忙期の時期に加え、個人の場合は確定申告が3月に限定されているからです。
そのため個人事業主の場合は、税務調査官がもっとも動きやすい7月~年末年始前までの税務調査が増える傾向にあります。
さらにその中でも、初動である7月~8月に一気に税務調査が増えるわけですね。
法人に税務調査が来やすい時期
法人の場合は年間を通して税務調査を行っており、決算月が2月~5月の場合は7月~12月に、決算月が6月~翌1月の場合は1月~6月に税務調査が来やすいです。
また別の見方をすると、自社の決算月の3か月以降の6か月間は注意が必要です。
申告後3か月の調査期間があって、そのあとの半年間で税務調査が入る可能性が高まります。
全体的な話をすると、基本的には3月を決算月にしている法人が多いことから、とくに9月~11月に税務調査が増える傾向が強いです。
逆に、人事異動前の6月、確定申告がある2月、3月は、税務署側の都合から税務調査が来にくい傾向にあります。
税務調査が来やすいタイミング

税務調査が来やすいタイミングには、以下のようなものがあります。
- 売上が急激に伸びた
- 同業他社に比べて利益率が低い
- 経費が急激に増えた
- 売上高1,000万円未満付近が続いている(※免税事業者の場合)
- 過去の税務調査で悪質な脱税を指摘された
1つずつ解説していきましょう。
売上が急激に伸びた
売上が急激に伸びたタイミングは、税務調査に入られやすくなります。
急激に売上が伸びたことで、不正や見落としが起こりやすくなるからです。
また売上が伸びたということは、それだけ多くの追徴課税を取れる確率も高まります。
もし事業拡大などで売上が例年より大きく上がったら、「もしかしたら税務調査が来るかも」と意識しておきましょう。
同業他社に比べて利益率が低い
同業他社に比べて低い利益率が続いている場合も要注意です。
売上隠しや経費の過剰計上を疑われ、税務調査に入られやすくなります。
基本的に税務調査は目立つところに入りやすいです。
もし自社が競合他社より低い利益率で動いている場合は、税務調査のリスクも上がっていると思っておきましょう。
経費が急激に増えた
経費が例年に比べて急に増えたタイミングも、税務調査に注意です。
本来経費にできないものまで経費として計上しているのではないかと疑われます。
とくに雑費が多すぎると税務調査で指摘されやすくなるので注意してください。
売上高1,000万円未満付近が続いている(※免税事業者の場合)
免税事業者である場合、売上高が1,000万にギリギリ満たない状態が続いていると税務調査に入られやすくなります。
消費税の免税のため、売上を意図的に操作していると疑われるからです。
消費税は、売上高が1,000万円を超えた2年後から納税事業者になることが義務付けられます。
そのためギリギリ売上1,000万円に届きそうになると、売上の時期を不正にずらしたり、一部を計上しなかったりという不正を働く企業が増えるのです。
税務署としても、目を光らせるポイントになるわけですね。
過去の税務調査で悪質な脱税を指摘された
過去の税務調査で悪質な脱税を指摘され、重加算税の対象となった場合、再調査に入られやすくなります。
前科があるため、また脱税をするのではないかと疑われるからです。
1度重加算税の対象になると、近いタイミングでまた税務調査に入られる可能性は高いと考えておきましょう。
税務調査が来る時期・タイミングの意味

「税務調査が来やすい時期」として挙げた時期以外のタイミングで税務調査が来た場合は要注意です。
セオリーから外れたタイミングで調査に来ていることになるので、何かしらの大きな脱税行為を確信したうえで調査に入られている可能性が高まります。
そのため、たとえ身に覚えがなくても(誤解であったとしても)、普段の税務調査より厳しい目で見られてしまいがちです。
あとは、7月の前半に税務調査に入られるパターンもやや注意が必要です。
税務署は少し特殊で、7月の異動を境として、7月~12月を上期、1月~6月を下期としています。
また「2月、3月には確定申告で調査が止まる」、「7月には異動によって自分の部署が変わるかもしれない」という事情があります。
このような事情から国税調査官の本音で言うと、「上期のうちに結果を出して下期は余裕を持ちたい」、「長引きそうな重い案件は早めに処理したい」、「下期は確定申告があり、さらに7月に自分の異動があるかもなので長引く案件は極力避けたい」という心理が働くわけです。
その観点から、異動後の7月前半に大きな案件(要は追徴課税をたくさん取れそうな案件)を優先的に入れる傾向があります。
必ずしも「7月 = 危険」とは言えませんが、「比較的狙い撃ちされやすい時期である」という点は知っておきましょう。
税務調査が来る確率は?

税務調査が入る確率は、個人事事業主でおよそ0.5%~1%、個人(相続税)で10%前後、法人でおよそ1.5%~3%と言われています。
個人事業主で200年~100年に1回、法人で70年~30年に1回くらいの確率なので、事業をやっていて1度も税務調査が来ないというケースも少なくありません。
ただ、税務調査に入られやすい条件や業種もあるので、油断は禁物です。
税務調査に入られやすい条件や業種、入られる確率を下げる対策などは別記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
⇒ 税務調査が入る確率を個人・法人別に解説!入られやすい職種や特徴は?
税務調査の流れ

税務調査(任意調査)の主な流れは以下のとおりです。
- 事前通知が来る(現金商売の場合は通知がない場合もあり)
- 税務調査の日程を決める
- 当日の調査に立ち会う(調査官の質問に応答する)
- 税務署による調査が行われる
- 税務調査の結果が出る
- 必要に応じて修正申告、追徴課税の納税を行う
基本的には、税務調査官の指示に従って行動することになります。
ちなみに任意調査とはいえ、税務調査を断ると結局強制調査で入られる可能性が高いので、なんとか回避しようとは考えない方が良いでしょう。
税務調査の対策

税務調査に入ると連絡があった場合、以下2つの対策をしてください。
- 税理士に相談する
- 必要書類を不足なく揃える
まずやるべきなのが、税理士への相談です。
顧問税理士がいる場合は、すぐに税務調査の連絡があった旨を伝えましょう。
顧問税理士がいない場合でも、スポットで税理士に入ってもらうことをおすすめします。
税務調査を税理士なしで受ける場合、対応はかなり難しいです。
いらないことを言って理不尽な追徴課税を取られてしまうケースも考えられるので、税務調査の際は極力税理士に頼るようにしましょう。
あと必要書類については、過去7年分の書類を用意しておいてください。(実際に調査対象となるのは過去3年分のケースが多いです)
当日は指示された一部を見せることになるので、指示された部分をすぐに探せるようにしておきましょう。
ちなみに、用意しておいた方が良い書類は以下のとおりです。
- 法人税申告書(個人事業主は所得税の申告書)
- 決算書
- 登記簿謄本
- 総勘定元帳(帳簿)
- 売掛、買掛帳
- 現金出納帳
- 固定資産台帳
- 預金通帳
- 棚卸明細表
- 源泉徴収簿
- 給与台帳
- 領収書の控え
- 納品書
- 請求書
- 契約書
- 稟議書
- 議事録
税務調査当日は、これらの書類を整理しておきましょう。
池上会計は理不尽な修正申告には屈しません

私たち池上会計は、税務調査にしっかり対応し、理不尽な修正申告に屈することはありません。
正直なところ、税理士といってもピンキリです。
税務調査の対応に関しても同様で、税務調査官の言いなりになってしまう税理士も中にはいます。
しかし私たち池上会計は、こちらに正当性があることについてはしっかりと主張し、税務調査官の言いなりにはなりません。
また私たちの強みの1つにクイックレスポンスがあります。
税務調査の連絡が来た時、税理士に連絡してもなかなか返事が返って来ないと不安になるのではないでしょうか。
だからこそ私たちは、お客様を待たせず、できるだけ早くお返事することを徹底しています。
もし「今の顧問税理士が頼りなくて税務調査が不安」、「まだ税理士と契約を結んでいない」という場合は、ぜひ池上会計にご連絡ください。
お客様の大事な資産を、しっかりと守らせていただきます。
【まとめ】税務調査が入りやすい時期”以外”の調査に注意
今回は税務調査が入りやすい時期、タイミングについて解説をしてきました。
とくに注意が必要なのが、記事内で解説したセオリーから外れた時期に行われる税務調査です。
「セオリーから外れてでもすぐに税務調査に入りたい」という税務署側の意思が込められている可能性があるため、何か強い不正の根拠を持っている可能性があります。
もしそれが誤解であったとしても、かなり厳しく追及され、結果的に払わなくてもいい多額の税金を納めるハメになってしまうかもしれません。
そんな時に重要なのは、理不尽な指摘や要求に対してしっかりと戦ってくれる税理士です。
残念ながら、すべての税理士が税務調査でしっかりと戦ってくれるわけではありません。
しかし私たち池上会計はお客様の資産を守るため、理不尽な要求とは断固として戦います。
もし税務調査に不安を感じているなら、ぜひ1度池上会計にご相談ください。
顧問契約を検討して下さっている場合は、初回相談を無料とさせていただいています。