今回は「中小企業の社長の仕事」について解説をしていきます。
経営者になりたいけど、何をすればいいのかわからない。
もしくはすでに社長だけど、自分の働き方が経営者として正しいのか迷いが生じている。
起業する方が増えている昨今、とくに中小企業の経営者にはそのような方も多いです。
そこで今回は、税理士として2,000社以上の社長と関わってきた税理士の視点から、中小企業の社長の「やるべき仕事」、「やってはいけない仕事」を解説していきます。
もし今迷いが生じているなら、ぜひ参考にしてみてください。
中小企業の社長の仕事とは?

中小企業の社長がやるべき仕事としては、下記の6つが挙げられます。
- 経営方針を決める
- 会社を最適化する
- 資金調達・資金繰り
- 決断する
- 責任をとる
- 得意な仕事に専念する
会社の状況によって社長がやらなくてはいけない仕事も変わってきますが、少なくともこれらは状況に関わらず、必ず社長がやらなければいけない仕事です。
それぞれ解説していくので把握しておいてください。
社長の仕事1.「経営方針を決める」
会社の経営方針を決めることは、社長の重要な仕事です。
あなたが社長として、「会社をどうしていきたいか」ということですね。
基本的な方針や経営理念がなければ、社員はどのように働けば良いか迷ってしまいます。
社員のいない1人社長であったとしても、方針が定まっていなければ、社長自身が迷ってしまうケースも多いです。
当然、そのような状況では生産性は上がりません。
逆に経営方針がしっかりと定まっていれば、社員も同じ方向を向いて動きやすくなりますし、社長自身の判断にも一貫性が生まれます。
そのため、会社の経営方針を決めることは、社長がまず最初にやらなければいけない重要な仕事であると言えるでしょう。
社長の仕事2.「会社を最適化する」
経営方針に基づき、会社を最適化するのも社長の仕事です。
具体的には、「従業員や外注を雇う」、「従業員や外注が働きやすい仕組みをつくる」、「人を育てる」などが挙げられます。
要は、会社を回すための土台づくりですね。
小規模な会社の場合は社長が率先して現場に出ていることもあるでしょうが、経営者であるなら、さらに上の視点が求められます。
社長の仕事3.「資金調達、資金繰り」
資金調達や資金繰りを考えることも、社長の重要な業務の1つです。
会社にとって資金は血液のようなもので、非常に重要なものだと言えます。
そのため「いかに資金を調達するか」、「資金繰りを健全にするか」といったことは、ダイレクトに業績に響いてくる部分です。
それこそ手元のキャッシュがショートしてしまった場合、黒字倒産という事態を招いてしまうこともあり得ます。
だからこそ財務・経理の部門があったとしても、最後は社長が責任を持って資金繰りをチェックしておかなければいけません。
社長の仕事4.「決断する」
最終的な決断を下すことも、社長の重要な仕事の1つです。
もちろん、すべてを社長1人で決めるというわけではありませんが、重要なことであればあるほど、社長が経営者の目線で最終的な決断を下さなければいけません。
たとえば社長が決断を下すべき事柄としては、根本的な事業の進め方の見直しであったり、大きな投資であったりが挙げられます。
それ以外にも、中小企業の社長であるなら、自身で決断を下さなければいけないことは多いはずです。
社長が迷っていると、社員はそれに振り回されてしまいます。
だからこそ経営者には、強い決断力が求められるのです。
社長の仕事5.「責任をとる」
責任をとることも、社長がやらなければいけない仕事の1つです。
もちろん、小さなミスであれば従業員レベルで解決できることもあります。
しかし従業員レベルで責任をとれないことが起こってしまった場合、会社の最高責任者である社長が責任をとり、謝罪なり対応なりをしなければいけません。
ただこれは考え方を変えれば、従業員が活き活きと働くための地盤づくりだとも言えます。
後ろに社長が控えてくれていると信頼してもらうことができれば、従業員も安心して仕事に打ち込めるでしょう。
社長の仕事6.「得意な仕事に専念する」
中小企業の社長は、できるだけ自分が得意な仕事に専念できることが望ましいです。
営業が得意なら営業、コンサルが得意ならコンサル、といった形ですね。
逆に苦手な業務こそ、従業員や外注に任せる仕組みをつくる必要があります。
ただし中小企業の社長であれば、前提として基本的に会社のすべての業務を把握しておかなければいけません。
これはすべての業務を1人で抱え込むとか、完璧にこなせるべき、ということではなく、ある程度すべての仕事を知っておかないと人に任せることもできないという意味です。
たとえば従業員の急な体調不良や退職、外注が飛んでしまう、といった場合に責任を持つのは、前述したとおり社長の重要な仕事の1つです。
だからこそ社長は、そういった不測の事態にも備えておく必要があります。
とくに社員が数人、もしくは社長と外注のみで成り立っているような小さな会社においては、社長がすべての業務を把握し、緊急時の対応ができる状態をつくっておくことは重要だと言えるでしょう。
社長がやってはいけない仕事

社長がやってはいけない仕事は、「社長が不得意な業務全般」です。
ただ厳密に言うと、小規模企業の場合は、社長がやってはいけない仕事は存在しません。
とくに会社を起こしたばかりで従業員が少なく、仕組みも資金も不十分な場合には、率先して社長が働く必要があります。
ただそのうえで、いつまでも社長が多くの仕事を抱え込んでいたり、不得意な仕事をやっていたりする状況は良くありません。
とくに苦手な仕事を社長が延々と自分でやっているせいで、社長がやるべき仕事が疎かになってしまっては本末転倒です。
社長はその会社でもっとも重要な労働力なのだからこそ、社長業務や得意な業務だけに専念できる状態を作り出すことが必要だと言えるでしょう。
社長に求められる能力

社長に求められる能力としては、以下が挙げられます。
- 決断力
- リーダーシップ
- コミュニケーション能力
- 論理的思考力
- ストレス耐性
それぞれ解説していきましょう。
決断力
社長には決断力が求められます。
先にもお話ししたとおり、「決断すること」が社長にとって非常に重要な仕事だからです。
社長の意思決定が、そのまま会社の命運をわけることもあります。
また社長だからこそ、リスクを伴う決断を下さなければいけないこともあるでしょう。
そういったときに社長が迷ってしまうと、従業員も迷ってしまいます。
だからこそ社長には、強い決断力が求められるのです。
リーダーシップ
社長はその会社のリーダーであるため、従業員や外注がいる場合はリーダーシップも求められます。
自分1人でするような仕事でない場合、従業員や外注からなる組織をまとめる能力が必要です。
リーダーは目指すべき目標を明確にして、チームが同じ方向を向いて動けるように調整しなければいけません。
リーダーシップがないと、それぞれがバラバラに動いてしまい、目標達成が遠のいてしまいます。
だからこそ社長は、会社というチームの1番上のリーダーであるという自覚を持つことが重要です。
コミュニケーション能力
社長にはコミュニケーション能力も求められます。
会社の運営には、取引先や従業員、外注などとの良好な人間関係が非常に重要だからです。
また、仕事は意外と人間関係で回っているものです。
たとえば先輩経営者と良好な人間関係を築いていたからこそ、おいしい仕事や情報を回してもらえることもあります。
また従業員のパフォーマンスや帰属意識についても、待遇だけでなく人間関係によるところが大きいです。
だからこそ社長には、高いコミュニケーション能力が求められます。
とくに率先して人と関わらないといけない中小企業の社長にとっては、より重要な要素となるでしょう。
論理的思考力
社長には論理的思考力も必要だと言えます。
経営に関する決断や部下への指導などは、論理的に行われるべきものだからです。
感情に振り回されたり、勘だけで重要な決断をしてしまったりすると、どこかで会社経営に問題が生じる危険性が高いと言わざるを得ません。
だからこそ、会社を健全に経営し、継続的に成長させるためには、論理的思考力が必要不可欠なのです。
ちなみに、論理的思考力は訓練で誰にでも身に着けられるものだと言われています。
もし自分に論理的思考力が足りないと感じているなら、普段から筋道を立てて考える癖をつけましょう。
ストレス耐性
社長にはストレス耐性も必要です。
会社経営は一筋縄ではいきません。
ときには理不尽なことに見舞われ、相当なストレスに晒されることもあるでしょう。
しかし、そこで社長のパフォーマンスが落ちてしまうと、会社に大きなマイナス影響を与えてしまいます。
だからこそ社長には、安定してパフォーマンスを発揮できる強いストレス耐性が求められるのです。
ちなみにストレスを軽減する手段として、いつでも相談できる相手を見つけるというのも有効な手段です。
社長の相談相手の見つけ方については別記事で詳しく解説しているので、そちらも参考にしてみてください。
⇒ 経営者の相談相手をみつける方法!社長の悩みを解決してくれるのは誰?
社長はすべての仕事を完璧にこなせる必要はない

社長はすべての仕事を把握しておく必要がありますが、だからといってすべてを完璧にこなせる必要はありません。
むしろ「コアな業務以外はいかに従業員や外注に任せられるか」ということの方が重要です。
社長であろうと、1人でできる仕事量には限度があります。
そのため会社を大きくしていきたいなら、必然的に仕事を人に任せる必要が出てくるわけです。
前述したとおり、会社を経営するなら、社長ができるだけ自分が得意としている業務に全力を注げる環境を作り出すことが望ましいです。
だからこそ苦手な業務については、極力従業員や外注に任せる方向で考えましょう。
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財務のプロとして今までに2,000社以上の企業に伴走し、会社の財務はもちろん、社長のプライベートの悩みまで、積極的にご提案をさせていただいてきました。
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財務を疎かにしたり、素人知識だけでやったりすると、経営判断を間違えてしまう危険性が増します。
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【まとめ】社長がやるべき仕事を把握しておきましょう
今回は「社長の仕事」について解説をしてきました。
会社として利益をあげるうえで、社長の働き方は非常に重要です。
いかに社長がコアな業務や得意な業務に注力できるかが、その会社の経営に大きな影響を与えます。
だからこそ、あなたが社長として会社を経営しているなら、自分がどのような仕事を、どのような働き方でやるべきかしっかり考えるようにしましょう。
社長の仕事が上手く回り始めることで、会社全体の仕組みも上手く回り始めるはずです。