今回は「会社を立て直して黒字化する方法」について、財務に強い税理士の立場から解説していきます。
今の時代、会社を設立したはいいものの業績が思ったほど振るわなかったり、時勢の変化によって売上が落ちてしまったりして、立て直しを図りたいと考えている経営者は少なくありません。
ギリギリで会社を回しているため常に疲弊していたり、利益が思ったほど残らなくて儲からなかったり、という悩みを抱えている経営者も多いです。
もしあなたも同じような状態であれば、なんとかその状況を脱したいと考えているのではないでしょうか?
そこで今回は、会社を立て直し、黒字化する方法を財務のプロとしての視点で解説していきます。
しっかり対策を立てれば会社を立て直せるケースも少なくないので、ぜひ参考にしてください。
立て直しが必要な会社の特徴とは

まず、立て直しが必要な会社の特徴としては以下が挙げられます。
- 想定していない赤字が出ている
- キャッシュ(手元資金)がカツカツ
- 経営者や従業員が疲弊している
これらが続いていたり深刻化していたりするなら黄色信号、もしくは赤信号です。
それぞれ解説していきましょう。
想定していない赤字が出ている
あなたの会社の業績が意図せず赤字になっている場合は、立て直しの施策が必要な状態であると言えます。
想定外の赤字が続いているのなら、そもそもそのビジネスが上手く回っていない状態だからです。
それを放置すれば、たちまち経営破綻に追い込まれてしまいます。
ただし、赤字経営自体は悪いものではありません。
たとえば積極的な事業投資によって赤字になっているケースは、計画通りであれば問題はないです。
借入が増える一方で事業も成長しているため、キャッシュフローに問題がなければむしろ好調で、むしろ攻めの経営をしていると言えるでしょう。
また、節税目的であえて赤字にしている法人もあります。
このように、想定した赤字であれば問題はありません。
しかし、意図していない赤字で、改善の見込みもない場合は早急に手を打つ必要があります。
キャッシュ(手元資金)がカツカツ
キャッシュ(手元資金)がカツカツな状態も、早急に立て直しを図るべき危険な状態です。
たとえ黒字であっても、手元のキャッシュがなくなれば黒字倒産の危険があります。
企業が安定して経営を続けるためには、健全な資金繰りが必要不可欠です。
もしギリギリ綱渡りのような資金繰りをしているなら、早急に財務を見直してください。
経営者や従業員が疲弊している
意外と見落としがちなのが、経営者や従業員の疲弊です。
企業の代表たる経営者が倒れてしまえば会社経営は立ち行かなくなってしまいますし、従業員の疲弊による作業効率の低下も大きな問題だと言えます。
それどころか、ある日、一斉に従業員が辞めてしまうというケースも意外と多いです。
もし経営者や従業員が長期的に無理をしているなら、業務フローを見直して無理なく会社が回る仕組みをつくる必要があります。
会社の立て直しをする4つの方法

会社を立て直す方法としては、以下の4つが挙げられます。
- 財務の見直し
- リストラクチャリング
- 利益率の見直し
- 外部コンサルの活用
それぞれの施策について詳しく解説していくので、自社に必要だと思うものの実施を検討してみてください。
会社立て直し方法1.「財務の見直し」
会社の立て直しをしたいなら、まずは財務の見直しから始めてみましょう。
財務を見直すことで、どこに問題があるのか特定できるからです。
たとえば財務を見直せば、「どこの資金繰りが悪いのか」、「無駄な経費はかかっていないか」などが見えてきます。
ただし、財務を見るには知識が必要です。
とくに根深い問題がある場合は、素人では気づけないこともあり得ます。
そのため、できれば財務については1度プロのチェックを受けてみることをおすすめします。
もちろん、私たち池上会計も財務のプロなので、会社を立て直したいと考えているならぜひご相談ください。
会社立て直し方法2.「リストラクチャリング」
会社を立て直す施策としては、リストラクチャリングも効果的な手法です。
リストラクチャリングとは、企業が事業構造を再構築することを意味します。
一般的には、人員削減を意味する「リストラ」という言葉が有名ですね。
ただ本来の意味でいえば、人員削減だけでなく、事業縮や不採算事業の整理、成長事業への資源集中など、事業構造を再構築すること全般を指します。
現状の問題がある事業構造を見直すことで会社の立て直しを図る施策です。
会社立て直し方法3.「利益率の見直し」
会社を立て直すには、利益率を見直すことも重要な施策の1つです。
そもそもの利益率が低いことから事業が上手く回っていないというケースも多くあります。
低い利益率で多くの仕事を請け負ってしまう、いわゆる薄利多売で消耗している中小企業は多いです。
低すぎる利益率は従業員の疲弊やキャッシュの不足など、様々な問題を生じさせます。
とくに物価高騰が続いている今の社会情勢では、短いスパンでの定期的な利益率見直しが必要であるといえるでしょう。
会社立て直し方法4.「外部コンサルの活用」
外部コンサルを入れて会社の立て直しを図るのも1つの手です。
たとえば経営コンサル、財務コンサルなどですね。
コンサル費用はかかりますが、社内にはなかったプロの視点で改善を進めることができます。
とくに経営者の場合、経営には詳しくても財務のプロではないというケースも多いです。
そういう意味では、社内に財務のプロがいない場合は財務コンサルを頼ってみるのが良いでしょう。
ちなみに、私たち池上会計も財務のプロです。
とくに売上数千万円規模の中小企業に強く、今まで2,000社以上の企業に伴走して財務の支援を行ってきました。
関わるからには財務の責任者として、全力で結果(お客様の利益)に拘っていくことがポリシーなので、もしあなたの会社に財務のプロがいないなら、ぜひ1度ご相談ください。
会社を立て直して黒字化した事例

ここからは会社を立て直した事例を2つご紹介します。
- 合同会社ユー・エス・ジェイの事例
- 単価を上げて会社を立て直した「警備会社」の事例
1つ目は有名な事例、もう2つ目は小さな会社の事例を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
合同会社ユー・エス・ジェイの事例
日本を代表するテーマパーク「USJ」の事例です。
実はUSJは、2001年開業から3年後の2004年には、経営破綻ともいえるほど業績が落ち込んでいました。
そこで2010年に数多の実績を誇る有名なマーケター・森岡毅 氏を迎え入れ、会社立て直しに着手したのです。
森岡 氏はさまざまな施策を成功させていますが、1番大きかったのはニーズの拡大ではないでしょうか。
それまで「映画が好きな人」をターゲットにしていたUSJですが、ハロウィン・ホラー・ナイトを始め、人気アニメとのコラボなど一般ウケする企画を実施することで、ニーズを拡大し、多くのお客さんを呼び込むことに成功したのです。
ちなみにハロウィン・ホラー・ナイトは、当時財務的な余裕のなかったUSJにとって、低予算でできて効果も大きかった、まさに一発逆転の施策となりました。
このように実績のあるプロの視点を入れることで、業績も回復させることができたわけですね。
単価を上げて会社を立て直した「警備会社」の事例
警備会社の事例で、警備員派遣のサービス単価を上げることで会社を立て直した事例があります。
そこはもともと小さな会社だったこともあり、他社より単価を下げることで仕事を取っていました。
ところが大口の仕事先が倒産して売掛金を回収できないという事態が発生、たちまち資金繰りが悪化し、連鎖倒産の危機に陥ってしまったのです。
このままでは従業員の給料、家賃、税金の支払いに支障が出てしまうという状況でした。
そこで、このまま倒産するくらいならと、取引先からの反発を覚悟のうえで大幅な値上げに踏み切ったのです。
もともと利益率が低すぎて会社に十分なキャッシュがないことが問題だったのですが、単価を上げることで利益率が大幅に改善し、結果、その警備会社は倒産危機を乗り越え、さらに経営の土台を強化することに成功しました。
このように利益率が低すぎると、不測の事態による資金繰りの悪化がそのまま命取りになってしまいます。
健全な経営のためには、会社の財務を把握し、十分な利益がきちんと取れているかを常に把握しておくことが重要だといえるでしょう。
会社が手遅れになる前に……

今あなたの会社が、「想定していない赤字が続いている」、「手元のキャッシュが足りない」、「経営者や従業員が疲弊している」という状況なら、手遅れになる前に対策を打つことをおすすめします。
手遅れになってしまえば、そこに待つのは倒産です。
もしどういう施策を打てばいいのかわからないなら、ぜひ私たち池上会計にご相談ください。
今まで2,000社以上の企業に携わってきた財務のプロとして、どこに問題があるのかを特定し、どのような施策をすれば問題を解決できるかご提案させていただきます。
無駄な税金の支払いや経費を抑える施策はもちろん、資金調達についてもご相談可能です。
顧問契約をご検討いただいている場合は初回相談を無料としていますので、この機会にぜひ1度ご相談ください。(もちろん、相談したからといって必ずしも契約しなければいけないということではありませんのでご安心ください)
【まとめ】財務を理解して会社立て直しを図ろう
今回は「会社を立て直して黒字化する方法」について解説をしてきました。
会社を立て直すための施策は早ければ早いほど打てる手が増えますし、成功率も上がります。
ただ、実は自分の会社が立て直しを考えるべきタイミングだとなかなか気づけない経営者も多いです。
経営者は経営のプロである反面、財務のプロではないケースも多いからです。
会社を健全に運営し、成長させるには財務の理解が欠かせません。
もし財務の専門家が自社にいないなら、ぜひ池上会計にご相談ください。
あなたの会社の財務責任者として、社長に寄り添って伴走させていただきます。